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《記者の眼》=百周年執行委=〝加速の年〟に早くも失速?=会見するも広報事項なし=第三回会合は6月1日

2006年4月28日(金)

「まだ勉強中です」「みんなの意見を聞いてから」「大事なのは透明性」――ブラジル日本移民百周年記念祭典協会の上原幸啓理事長がこの二年間言い続けてきた口ぐせだ。
何もないのがニュース?
 今月二十五日に行われた第二回執行委員会に関する記者会見が翌二十六日、文協ビルの祭典協会で開かれた。吉岡黎明総務委員長、遠山影孝同委員会広報担当が出席したが、何ら日系社会に伝達すべき内容はなかった。
 「広報活動を充実させたい。今後は私たち二人に連絡をくれれば対応する」
 吉岡氏は以前、「これからは全て広報を通じて話します」と取材拒否したことがある。松田セルソ氏という広報担当者の姿は会見の場に何故かなかった。
 今週末の二十九日には、百周年協会の定期総会が開かれ、役員改選も行われる。提出期限後、シャッパは張り出されておらず、取材記者に事務職員は、「吉岡さんがいないから分からない」。
 救済会々長、文協副会長など様々な要職を兼任する同氏。総務委員長としては、すでに四人目となる。
 事務局強化は以前から、理事会、総領事からもその重要性を指摘されている。発足三年後、百周年二年前となる六月一日の第三回執行委員会会合で、ようやく事務局長の〃人選〃を行うという。
 何故か、五月中の会合は予定されておらず、加速の年半ばにして失速、との見方もできよう。
 なお、理事会席上では、会計、事業内容、議題の要項さえも、報道関係者に非公開であることを付記したうえで、同協会の広報姿勢の是正を強く望みたい。
引きずられる主役?
 今月、ブラジルの外務省主導で、ブラジル政府内に委員会が立ち上げられたことは大きな進展といえる。
 しかし、主役たるべき協会には、事務局長、財務担当者もいないというのが、現状だ。
 今月一日に開かれた第一回執行委員会では、〃実行可能なプロジェクト〃を優先することが決定された。
 総合センターを代表とする四大プロジェクトの〃実行可能は困難〃と判断されたというわけだ。それも日本側の姿勢を呻吟したうえでだ。一部幹部の取らぬ狸の皮算用を元にした蜃気楼に日系社会が翻弄され、二年を浪費した結果といえる。
 百周年協会は、両国政府の動きに引きずられる形でようやく重い腰を上げようとしている。
財務関係の一本化を
 広報するなら、それなりの準備と内容が必要である。予定や計画だけで具体的な方策―主に金策だが―を全く打ち出さないのは、巷間周知の事実である。
 財務担当の不在は会組織として異常というほかなく、その説明も摩訶不思議だ。
 四大プロジェクトを推進する各団体がブラジルサイドで集金活動することは理事会で承認されており、日本サイドに関しては、財務管理能力のない百周年協会が窓口となるという。
 大手広告代理店DPZが広報活動することに関しても、「金銭はスポンサーと直接やり取りしてもらう」と吉岡氏。集金活動は広告代理店の仕事ではないことは遠山氏も認めており、このような丸投げ姿勢は早々と改善すべきだろう。
 「DPZは電通とタイアップしているから、日本国内での宣伝効果も望める」
 発言の多くが希望的観測に立っており、日系社会に具体像を提示できないばかりか主体性すらないのが現状といえる。
 それ以前に重要なのは、会員団体からの会費徴収ではないのか。今回のシャッパ四十七団体のなかで会費未納団体があることは吉岡氏自身が認めている。
原点に返り、足元固めを
 今週末の選挙では、現執行部単一シャッパが承認されることになるだろう。
 文協内に準備委員会が発足した〇一年から数え、六年近い歳月の末、事務局、財務の人選が再来月という現状に唖然とするほかない。
 協会の現状を直視すること―、それが百周年まで舵取りを担う新執行部の当初の課題だ。組織の基本固めが火急を要する目下の急務であることをまずは認識してもらいたい。(剛)