2006年4月19日(水)
サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)が本部施設を建設するため、ファグンデス街に面した土地約千三百五十平方米(二百七十万レアル)を購入することになった。所有権を持つ池崎博文氏(リベルダーデ商工会会長)と十三日夜、売買契約を交わし、既に手付金の支払いを済ませたという。二〇〇九年に創立五十周年を迎える援協。本部建設の夢に向かって、第一歩を踏み出したようだ。
文協ビル地下にある、援協総合診療所。日系高齢者を始め、多くの来診者が日々訪れている。患者数が年々増加。診察室が手狭になっている上、苦情もちょくちょく寄せられている。
組織内部でさえ「風通しの悪い、地下でお客さんを応対するのは失礼だ」という意見が出ているのも事実。このような状況を受けて、本部施設建設構想が以前から検討されてきた。
坂和三郎広報委員長(第五副会長)は「五十周年に向かって、診療所のほかにも福祉部のデイケアなどを集めた、福祉の拠点があれば」と明かす。
本部施設をつくるなら、日系人に利便性を図ろうと、数カ月前からリベルダーデ区内の物件を探してきたところ、リベルダーデ商工会会長の池崎氏が所有する土地に行き当たった。
この不動産はガルボン・ブエノ、ファグンデス、バロン・デ・イグアッペ街の三方に面した七千五百六十平米の一部。援協が購入するの部分は、宮城県人会会館の向かい当たりに位置する。
登記所での名義は、今のところ小林住宅だ。同社と池崎氏との間に売買契約が交わされ、買収金額の一部が既に支払われている。
援協は池崎氏との交渉を進めるのに並行、臨時理事会を開くなどして、是非を検討してきた。十三日に財務委員会、常任理事会、理事会を立て続けに行い、最終的に役員の承認を得た。
ただ評価額と買収額との差異や購入時期などを巡って反対意見も出たようだ。 十三日夜、池崎商会の事務所で、弁護士の立ち合いのもと、池崎氏と酒井会長との間で売買契約が交わされた。「援協は既に、半額程度の手付金を支払った」(関係者談)。資金は日伯友好病院が持つ基金から捻出したという。
援協の創立は五九年。二〇〇九年に、創立五十周年を迎える。本部施設建設が、記念事業の目玉になりそうだ。最初のステップとして、土地を確保する形になった。
着工の時期などは未定だ。坂和委員長は「本部建設という夢に向かって着実に進んでいきたい」と話している。