2006年4月19日(水)
ブラジル日本都道府県人会連合会の定期総会が、あす二十日に開かれる。役員改選期を迎えた今年、県連は中沢宏一現会長の退任を受けて、はじめて複数シャッパによる選挙を実施する。提出されたのは高橋一水氏(67、県連副会長、高知会長)と松尾治氏(67、福岡会長)を会長候補とする二つのシャッパ。総会を前に、両陣営による水面下のかけひきが続いている。今年創立四十周年を迎える県連。昨年度フェスティバルの収支報告問題、今年の準備をはじめ、新執行部の課題は多い。高橋氏と松尾氏。渦中の二候補に話を聞いた。
未承認が続く昨年度フェスティバルの収支報告問題、三カ月に迫った今年の開催準備と四十周年記念式典など、発足後の執行部には喫緊の課題が待ち構えている。昨年来続いている内部対立を解き、再び連合会をまとめることもその一つだ。
「自分はまとめ役」
高橋一水氏
現副会長の高橋氏。現在高知会長の五期目を務めるほか、コチア青年連絡協議会会長として昨年、コチア青年移住五十周年に携わった。
「皆さんにいろいろな役割をお願いしたい。自分はまとめ役だと思っています」と自身の立場を表わす。
ノッタ・フィスカルの不足が指摘され未承認が続いている昨年度フェスティバルの会計問題。高橋氏は「執行部に責任がないとは言えない」としながらも、「(監査と執行部の)感情的なもつれもあるのではないか」と指摘。「現状が続いて九回目ができなくなることの方が損害は大きい」と早期の問題解決の必要性を強調した。
一方で、会計問題がたびたび俎上に上っている現状に対して、事務局機能の強化にも言及する。
今年のフェスティバル実行委員長に選ばれた加藤恵久・鳥取会長は松尾陣営の副会長候補。県連内部が二分された現状について話し合いと、双方歩み寄りの重要性を指摘する高橋氏。「(フェスティバルは)一緒にやらなきゃいけない」として「加藤さんは二世で、ブラジルの事情にも詳しい。もっとできるでしょう」と期待を表わした。
開催までの期間が短いことから「百パーセントは無理かもしれない」としながらも、「郷土食は大事。これはそのままに、他の経費を抑えることが必要」と語った。
さらに、「日本の都道府県がフェスティバルに参加できるような雰囲気づくりが大事」として、日本との連絡をさらに密にしていく考えを示した。
「ガラス張りの運営を」
松尾治氏
一方、会長候補として急浮上した松尾氏は、福岡県人会長の二期目。南米銀行、南米安田保険などに長年勤め、退職後、〇三年から文協副会長を務めている。
松尾氏が強調するのは「ガラス張りの運営」。現在の収支報告問題は執行部側の説明不足にも原因があると指摘、「中沢会長はよくやった。それは皆が認めている」としながらも、問題解決のためには執行部が責任を明確にすることが必要との見方を示した。「もう少し分りやすく納得できる説明があれば、代表者も納得するはず」と、自身の方針を説明する。
県連内部が二分された現状については、「将来的にはあらためていかなければいけない」と語る。
昨年度会計の混乱が今年のフェスティバルに与える影響については、「スポンサー集めで苦労する可能性もあるが、できるだけ行って説明したい」。さらに、今年の開催に当たり、これまでのノウハウを持つ経験者へ協力を呼びかける考えだ。
文協第三副会長をつとめる松尾氏。「県連と文協の関係は良くないと感じていた」と語り、文協との関係改善を進める意向を示す。また百周年に関しても、文協、百周年協会はじめ他団体との連携を進めていく必要性を語った。
松尾陣営のシャッパでは二世の県人会長が半数を占めることから、日本との関係にも変化が出ることが予想される。これについては、「難しさはあるかもしれませんが、県連が窓口になって県人会を補佐していくことが必要」と語った。
◎
フェスティバルの会計問題で表面化した、県連内部の対立。裏を返せば、現在の県連の混乱は、この対立構造から発しているとも言える。両候補とも連合会が二分された状態を改善する必要性を口にするが、執行部選挙が「火に油をそそぐ」可能性もあるだけに、新執行部の手腕が問われそうだ。
総会は二十日午後四時から宮城県人会館で開かれる。役員選挙は、顧問と四十四県人会の代表による投票で決まる。情勢は今なお流動的だ。