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PT幹部ら40人を起訴=犯罪組織を構築=権力維持のため支持票買収=受理の判断は来年以降に

2006年4月13日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】ソウザ検事総長は十一日、労働者党(PT)が悪質な犯罪組織を構築したとして、四十人の共犯者を示した起訴状を最高裁へ提出した。犯罪組織は、PTが国家の最高権力にしがみつくため違法手段で政府支持票を買収し、選挙では違法資金を提供し連立与党を支援していた。組織の中核には、ジルセウ前官房長官やソアレス前財務担当、ペレイラ前事務局長、ジェノイーノ前PT党首、グシケン前広報長官がいた。他にクーニャ前下院議長や下議、前下議、ドゥーダ前広報担当、広報業者のヴァレーリオ氏も関与したが、ルーラ大統領が関係した痕跡はないという。
 検事総長は、裏金システムを維持するためPTマフィアが組織されたとする判断を下した。起訴状では前官房長官を主犯とする三人が最高責任者と指摘された。起訴状の内容は、CPI(議会調査委員会)報告書よりも辛辣であった。
 ヴァレーリオ氏は犯罪社会のベテランで、PTを悪の世界へ誘った人物とみられている。同氏は一九九八年、アゼレード上議(ブラジル民主社会党=PSDB)をミナス・ジェライス州知事に再選させるため暗躍した前科がある。違法資金の捻出でノウハウを提供するため二〇〇二年、PTへ接近した。
 最高裁へ起訴された四十人の罪状は、犯罪組織の構築と不正資金の洗浄、海外違法送金、贈賄と収賄、公金横領となっている。犯罪組織は三グループからなる。第一は、PTをサポートするジルセウ班。第二はヴァレーリオ班、同氏を中心とする共営者が政府の保護の下、政府機関に寄生した。第三がルラル銀行グループで、数々の違法金融取引を偽装し、リベート受け入れの窓口となった。
 最高裁のバルボーザ判事は、検事総長が起訴した四十人に対し告知を行うことにした。これより四十人の司法守秘は解かれ、口座と資産、電話明細以外は自由に公開されることになった。告知後十五日以内に、被告は抗告の申し立てを行える。しかし、最高裁が検事総長の起訴状を受理するか否かは、〇七年の課題になりそうだ。
 起訴されたPT元首脳部の面々は、根拠がない起訴をいぶかっている。前官房長官のリーマ弁護士は、犯罪組織を構築した証拠が全くないので、検事総長の起訴に驚いているという。グシケン前長官は、伯銀職員の告発を一方的に鵜呑みにしたものと訴えた。元PT党首は、資金の動きに一切タッチしなかったという。
 ヴァレーリオ氏の共営者の他に、同社で働いていた一般職員も起訴状に名を連ねている。同社を舞台に繰り広げられた違法活動の共犯者というのだ。検事総長は、ジェフェルソン前下議の告発を各件で追跡調査したので、状況証拠ではないとしている。
 ソウザ検事総長は、これだけの規模で行われた犯罪が政治と癒着したことを看過するなら、歴史の語り草になると述べた。同検事総長はセアラー州生まれ、パラナ州育ちの五十七歳。検察庁入りした七五年、連邦令の権限と選挙に関する著書の執筆を始めた。大統領は〇五年、ソウザ氏を検事総長に任命。図らずもPTへのメスが生涯の大仕事となりそうだ。