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スザネ被告を再び拘束=弟に危害加える恐れ=TV番組出演で改悛の情にボロ

2006年4月12日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】二〇〇二年十月にサンパウロ市内で発生した富豪夫妻殺人事件で、実の娘のスザネ被告が罪を認めて逮捕されながらも昨年、仮釈放されていたが、裁判所の承認を受けた検察は十日、市内で同被告を再び拘束した。検察は元来、同被告の仮釈放に異議を唱えていた。検察のみならず世論も冷酷な尊属殺人の仮釈放で物議をかもしていた。
 今回の再拘束はスザネ被告が二月末、殺害した両親の遺産相続権を主張して提訴したことで、遺産相続人として認められた同被告の弟に危害の怖れがあると検察が判断して、同被告の拘留を求めたもの。裁判所はこれを認めた。
 そもそもスザネ被告が事件直後に逮捕されてから、父方の親族から同被告への遺産相続の破棄を求める訴えが起こされて相続権は停止処分となっていた。スザネ被告の弁護人によると、同被告はここにきて遺産相続に執念を見せ始めたという。同被告の弟が金品の管理をしているのに対し、同被告が無一文なことに不満を表明、姉弟のケンカに発展しているとのこと。検察では尊属殺人の再犯の危険性があると見て今回の措置に出た。
 そもそもスザネ被告が世間の注目を再度集めたのはTVグローボ局の人気番組「ファンタスチコ」のインタビューに出演したことにある。この収録中に付添った弁護士が十一回も涙を流すよう指示を出していたことや、共犯で実行犯の元恋人兄弟に罪をかぶせるように指導していたことが録画されていた。テレビ局では本番でこの〝ヤラセ〟の実態を放映して暴露した。
 スザネ被告は共犯の二人とともに六月五日に第一回公判が行われることになっている。裁判所はすべての審理が終了し、新事実はでないとの判断のもと、また同被告が改悛の情を見せていることを理由に仮釈放を許可したもの。これがテレビ番組で言を翻す形となり、裁判官の心証を害したとみられている。このため再犯の可能性を示唆する検察の言い分が認められた。
 スザネ被告は健康チェックのため殺人課のソファで一夜を明かした上で、未決囚人刑務所に移された。約一年のシャバでの生活に別れを告げ、同被告は泣き叫びながら連行されていった。見送った弁護人は「人間誰しもあんな所に二度と戻りたくないものさ」とポツリと語った。