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バストス法相が立場釈明へ=上院または記者会見で=前財務相との接触に誤解あり=違法口座開示で攻勢強める野党

2006年4月11日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】バストス法相は九日、口座違法開示の事件当時、パロッシ前財務相と公邸で接触したことについて早急に釈明したいと述べた。法相の前財務相訪問は辞任四日前の二十三日、刑事訴訟専門の弁護士マリェイロス氏を伴い、違法開示と連邦貯蓄銀行(CEF)の職員による事件関与を確かめるものであったという。同相は、上院が早急に召喚日程を組まなければ記者会見で釈明するとしている。同相は十日、プラナウト宮で大統領始め関係者と会合を持ち、そこで法相の立場を鮮明にするものと思われる。
 口座の違法開示で蜂の巣を突いたようになったブラジリアで、法相が二十三日に刑事専門の弁護士と共に財務相公邸を訪ね、新たなえん罪をねつ造する魂胆だったと雑誌ヴェージャが報道した。同件で法相の関与に対する野党の圧力が辛辣さを増したことで、早急に立場を釈明したいと同相が願い出た。
 元管理人のえん罪工作に失敗した矢先、刑事専門の弁護士と前財務相、マットーゾ前CEF総裁の会合はキナ臭さを呼び、そこへ法相が加わったことで誤解を招いたようだ。誤解に対する釈明は早いほうが良いと弁護士が提言した。法相は直ちにメルカダンテ上議を通じ、上院議長へ釈明の機会を求めた。上院の召喚は復活祭のため、早急には困難とされた。
 一方、法相とは法律の番人のはずだがしばしば脱線すると野党が批判した。法務省とは、放射性物質を扱う所で間違えると国家を損なうと警告した。殊に労働者党(PT)政権は危険な政権であり、法相が危険な指示を与えかねない。野党は事実を知りたいとした。
 しかし、法相の召喚可否の表決はなかった。財務相公邸の会合は臭い物にふたをするためではないと法相は釈明したかったらしいが、上院議長は採るに足らぬことと看過した。PTは復活祭後、法相の釈明でお膳立てをするようだ。七日空港待合室で帰宅の途にあった法相は、方向感覚を失ったゴキブリのように室内を右往左往していた。
 PT党内では法相に対する疑惑は政争であって、告発ではないとする見方がある。しかし、口座の違法開示と情報漏洩は政府の責任ではなく、前財務相と前CEF総裁の単独行為か、情報漏洩はマルシオ・ネット氏の一存という意見が多い。PTは選挙前にイメージ・ダウンにつながることは避けたいところだ。
 PT執行部では、前財務相無罪説が根強い。前財務相も法相も悪くないというのだ。無名の政府機関職員による善意の行為が、仇になるらしい。違法開示問題は前財務相の辞任でケリをつけたかったが、法相まで引きずり込まれそうなので困惑している。
 党員らは運命共同体と口ではいうが、疫病神は敬遠する。しかし、党員が窮地にあるときは、法相の間接的なアドバイスをもらっている。法相の存在は、ルーラ大統領インピーチメント防御の伏線とも考えられていた。いまは最低賃金と労働者所得などで大統領は忙しいから、インピーチメントの大衆気運は盛り上がりにくいとみられている。