2006年4月6日(木)
「日本でしっかり勉強してきてください」。サンパウロ総領事館で三月二十四日午後、二〇〇六年度国費外国人留学生十四人の壮行式が行われ、西林万寿夫総領事はそう送り出した。
十四人の一人、アニメが大好きというカミーラ・ナミエ・タッチ・キクチさん(USP)は三世、二十八歳だ。祖父は北海道、祖母は福島出身という。
九州大学へ留学し、天草にある海洋研究所で「さんご礁の魚類について勉強し、その成果を持って帰りたい」と目を輝かせる。「ブラジル国民に環境問題に関する関心を喚起するような仕事をしたい」との将来への抱負をのべた。
同じく留学生のセーザル・アウヴェス・フェラジさん(FGV=経営学、非日系)は国際基督教大学に留学し、警察制度、特に交番について研究したいという。「あるボランティア団体でファベーラ支援活動をしていたとき、たまたまJICAの派遣で来ていた警官の姿を目の前で見て興味をもった」と語り、日本の警察制度に関心を向けるようになった動機を語った。
同席したこの制度のOB、山根英太郎USP工学部教授は六七年に東大工学部に一年半留学した。「留学期間は短かったが、後の人生に大きな影響を与えた。続々と後輩が日本へ向かっていくのを見て、とても嬉しい」と目を細めた。
平川アンドレUSP同教授は九二年から四年半、横浜国立大学で学んだ。「今、自分が教授職にあるのは留学のおかげ」と述懐した。
一行は四月三日に出発し、最初の六カ月は日本語を集中的に学ぶ。その後、大学院入学試験を受け、各々の専門知識を深める予定。修士課程なら二~三年、博士課程なら約四年の滞在となる。