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情報庁に管理人監視を要請=前財務相=背後の指揮者探れ=親衛隊将軍、私的利用と拒絶=すべて裏目に出た裏工作

2006年4月5日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】パロッシ前財務相が国家情報庁(ABIN)の諜報員に元管理人を監視するよう要請していたことが三日、大統領親衛隊(GSI)フェリックス将軍の談話で判明した。GSIは大統領の身辺護衛が本来の任務であり、ABINもGSIの管轄下にあるが、大統領選に向けた私的利用はGSIの趣旨に反すると、前財務相の要請を拒否した。大統領府もABINに対し、政府中傷作戦を誰が背後で指揮しているか探るよう要請した。大統領府や連邦貯蓄銀行(CEF)、財務省管轄下の全組織と金融審議会(Coaf)は、特に連邦警察を抱き込んでパロッシ擁護作戦を展開していた。
 無名無力の一市民を葬るために、大統領府が総動員令を実施したことが判明した。ことの経緯は以下のとおり。元管理人が前財務相の邸宅通いを証言したのは、三月十四日。前財務相が自宅に法相補佐官とマトーゾCEF総裁を呼んで、口座の無断開示を命じたのが三月十六日。口座明細が雑誌に掲載され、連邦警察に管理人のえん罪捜査を命じたのが三月十七日。マトーゾ総裁が連警で無断開示を自白、口座明細を前財務相に手渡したことを公言したのが三月二十七日。
 違法手段で入手した資料を合法化するため、前財務相が連警の抱きこみをCoafに指示した。しかし一週間後、無断開示が問題になり結果は裏目に出た。前財務相は直ちにGSIのフェリックス将軍を訪ね、元管理人を背後で唆し一連の作戦を指揮する人物を探すように要請した。
 要請は拒絶された。前財務相は一連の事件が政府転覆の陰謀であることを強調したが、選挙にまつわる私事と片付けられた。前財務相はポルトガル財務次官に、元管理人封じ込めでCoaf指揮を依頼した。次官は断り、辞表を提出。法相が前財務相に引導を渡し、事態収拾のため無断開示の責任を取って辞任するよう提言した。
 元管理人のえん罪捜査の他に、前財務相はリベイロン・プレット疑惑を連警ブラジリア本部扱いにするよう法務省に工作していた。この細工は法相補佐官によって暴露された。雑誌エポカに情報を流した元補佐官のマルセロ・ネット氏は逐電した。情報漏洩で刑事犯になるらしい。
 検察庁は口座無断開示が、サントアンドレ前市長殺害事件に関連すると見ている。無断開示した口座明細をマトーゾ総裁に渡したとみられるシューマンなる人物は、サンパウロ州検察局から前市長殺害の黒幕の一人とされる。同氏に関する起訴は、裁判所で却下された。同氏は前市長の資産課長として、数々の不正取引で告訴されていた。
 口座無断開示は、ブラジル版ウォーターゲートと命名された。ワシントンで一九七二年、ホワイトハウスの指し金とされる五人の男が、ウォーターゲート・ビルにある民主党本部に侵入し秘密書類を写し撮った。ニクソン大統領は、その責任を取らされ辞任した。但し、ブラジル版は田舎者のウォーターゲート事件だという。

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