アグリビジネス

2006年4月5日(水)

 大豆を初めとする穀物栽培の農業不振が二年も続き、農業大国ブラジルを疲弊させている。価格低迷と為替差損の悪条件の中、まだ希望を失わず多角経営で奮闘する農業生産者がいる。ミナス・ジェライス州ウベラーバ市のヨナタン・H・ミンさんは、乳牛と肉牛、さとうきび、大豆を組み合わせた。さらに大豆製品の農産加工へも手を広げる計画だ。ミンさんによると多角、統合、垂直の経営三本柱が不況を生き抜く秘訣だという。今回の農業不況は、生産者に独創性と不屈の精神を求めると語る。生産者の独創性とは、資材の原価削減と作付面積の縮小、新作物栽培への投資、生産物の貯蔵、生産物販売の工夫、生産技術の研究だ。大豆はサビ病の被害と相場低迷のダブルパンチで赤字となったが、とうもろこしが救った。来年は大豆をクッキー用原料に加工する。
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 サンパウロ州西部ルビアーセア郡にあるサンタクララ農場の地主ノゲイラ氏は、五〇〇ヘクタールにケン(さとうきび)を植え、五〇〇ヘクタールを牧場にした。十二年後、牧畜や大豆、かんきつ類よりもケンが有利という結論に至り、全部を切り替えた。そればかりではなく同郡に他郡のケン栽培者が、土地を求めて殺到した。西部は今、ケンの話題で持ち切りだ。二〇一〇年までに六三億ドルを投じて、四十五カ所でアルコール精製所が建設される。同地方で〇五年に二億三〇〇〇万トンのケンが生産された。ケン栽培では長老格のノゲイラ氏が、ケン栽培で儲かる秘訣は銀行のカネを使わない、精製所に縛られないことと指南した。スポット取引をすると、利益はつねに大きい。さらに欲をいうなら、一回に植え付けを集中しないで輪作をする。休耕する間は、牛を放して牛糞を踏み込む。牛を購入する資金は貯金しておくこと。これだけ心得ておけば、必ず儲かるという。これからケン栽培に入る初心者は、ケン生産者協会に入り教えを乞うこと。投資金の回収は十八カ月後と覚悟する。栽培地は、精製所に近いほうが運賃が安く、有利である。最低二〇〇ヘクタールから始めるのが理想。ケンの栽培原価は一ヘクタール当たり二四〇〇レアル。