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コラム 樹海

 地下鉄サリン事件は史上最悪のテロであった。12人が死亡し5516人が負傷するという怪奇事件であり、犯人グループがオウム真理教という宗教団体のメンバーと知ったときの驚き。この他にも坂本堤弁護士一家殺人と松本サリンや苅谷清志殺人がある。きちんと確定してはいないが、警察庁の国松孝次長官が自宅を出たところを狙撃され重傷になったのも、オウム信者の犯行と見る筋が多い▼あの魔の地下鉄殺人から11年が過ぎたけれども、主犯の松本智津夫被告への判決はまだ出ていない。一審では死刑となっているけれども、控訴され東京高裁での公判は弁護団の姿勢に問題があって順調には進んでいない。つまり裁判は混迷し迷走しているのが現状であった。この間に開かれた公判は257回であり国選弁護人に支払われた弁護士報酬は4億五千万円である。それでも弁護団は言を左右にし引き伸ばし作戦にのみ弁舌を振るうばかり▼このために高裁は控訴棄却を決めた。つまり「裁判の打ち切り」の宣告であり、このままだと東京地裁の「死刑」の判決が決定する。もちろん、弁護側は異議の申し立てや抗議はするだろうが、恐らく―東京高裁の方針は動くまい。日本の有力新聞も高裁の決定を支持する論説を掲げているし、国民の立場も同じであろう。地下鉄の他に坂本弁護士一家殺人な度を含めると27人が殺されているのである▼サリンはナチスが化学兵器とし使用するために開発したものであり極めて毒性の強いものである。それを地下鉄車内に放ち人を殺す。これだけでも「死刑」しかあるまい。     (遯)

06/04/04