2006年3月31日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】郵便局CPI(議会調査委員会)は二十九日、裏金疑惑を立件し、百二十四人が関与したとする最終報告書を発表した。関与者の中にはジルセウ前官房長官を首謀者として、グシケン前広報長官などが名を連ねたが、ルーラ大統領は免れた。郵便局CPI報告者のセラグリオ下議は、疑惑の責任者としてジェノイーノ前党首やペレイラ前事務局長、ソアーレス前財務担当、アゼヴェード上議、ジェフェルソン前下議の起訴を要請した。しかし、法的効力はない。裏金の資金源としてヴァレーリオ・ルート経由のヴィザネットやブラジル・テレコム、ウジミナスなどを指摘した。
十カ月にわたって数々の波紋を呼んだ郵便局CPIは、フィナーレに至った。しかし、ルーラ大統領を疑惑から故意に脱漏した形跡は認められないと結んだ。全文は千八百二十八頁もあるが、大統領に触れた部分はわずか二ページであった。レベロ下院議長などから口頭で報告はあったというが、証拠はない。
セラグリオ下議は起訴要請が看過されるなら、最終報告書を書き直すという。広告業者ヴァレーリオ氏の資金提供は、労働者党(PT)執行部の主張通り存在しないし、銀行融資もなかったという結論だ。裏金の資金源は民間企業の献金や公団の公的資金らしい。
PTが違法手段によって捻出した裏金は、支持票買収を目的とした連立与党などへの贈賄であると最終報告は記す。ヴァレーリオ氏はソアーレス前財務担当の御用聞きで、国家権力保護のもとで政府機関の中に汚職システムを設け、党財政を賄い自分も私腹を肥やした。
前代未聞の汚職システムは、ジルセウ前官房長官が創案者だとしている。政治資金の流れを全て前長官は把握していた。全ての決定は、前長官立会いのもとに行われた。大枚が動く年金基金などへ党員を送り込んだ最高指揮官は、ジルセウ前長官だと告発。
CPIはヴァレーリオ氏を九種の刑事犯罪で告発した。同氏は知能犯罪のデパートといわれる。同氏経営の企業共営者や便宜を図ったルラル銀行、ミナス銀行の役員も、全員告発された。ソアーレス前財務担当は裏金システムで、もう一人のキーマンとされる。ヴァレーリオ氏の協力で、党資金の捻出と連立与党への資金供与システムを立ち上げた人物。
ルーラ政権の作戦本部長グシケン氏は、年金基金からの裏金担当であった。権限行使と贈賄でCPIが同氏を告発した。しかし、CPI報告は政治的効力があっても、法的効力は一切ない。告発された関与者は、報告書をフィクションだと一蹴した。検察庁と連邦警察は、数々の重要資料があるので報告書を参考として受理した。
前PT広報担当のドゥーダ・メンドンサ氏は、告発の他に海外における資産の違法運用や違法送金などの例として紹介された。同氏がデュッセルドルフ社で運用している資金は、氷山の一角であることも分かった。米政府がCPIへ提出した極秘文書によれば、世界各地にダミー会社を有していたという。同氏は違法資金ビジネスと法の抜け道を世間に開陳した。