2006年3月30日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】ブラジル航空史上初の宇宙飛行士が誕生する。宇宙飛行士として名を刻んだのはマルコス・セザル・ポンテス空軍大佐(34)で二十九日午後十一時二十九分(ブラジリア時間)ロシア製人工衛星ソューズTMAでロシア製カサキスタンのバイコヌル基地から宇宙へ向けて飛び立つ。
人工衛星の任務は国際宇宙ステーションの整備とステーション駐在要員の交代にある。今回打ち上げられる人工衛星は十日間の飛行予定で、四月八日に同基地に帰還することになっている。
搭乗員は同大佐のほかロシア人とアメリカ人の技術者で、この二人は向う六カ月間ステーションに滞在して整備に当たる。これまでやはりロシア人とアメリカ人の技術者が滞在しており、今回で交代する。
ソユーズTMAはロシアが一九六〇年代に開発した人工衛星で、改良を重ねたことで安全性に定評がある、とくにアメリカのスペースシャトルが二〇〇三年に事故を起こして以来、宇宙ステーションへの打ち上げはソユーズが定番となっている。
ブラジルは八年前、宇宙ステーションの維持管理に当たる国際機構、米国のNASAやほかの十五カ国と協定を結んだ。その時点でポンテス大佐が飛行士として選ばれ、NASAなどで訓練を重ねてきた。今回は搭乗員決定に際し、ブラジル政府が一〇〇〇万ドルを供出したことで、順番待ちの他国の飛行士を飛び越してポンテス大佐に決定したと伝えられている。これに対し野党側は選挙の人気取り作戦だと批判しており、せっかくの航空界の朗報も政争の材料となっている。
今回の飛行でポンテス大佐は機体の整備のほか、八件の研究テーマを行う。なかでもフェイジョン豆を宇宙で栽培するのが注目されており、地上では大学の研究班が同時に栽培して成長ぶりを比較することになっている。これらの交信はインターネットを通じて行われる。