2006年3月24日(金)
ジェトロ(日本貿易振興機構)サンパウロ事務所に十七日、任期を終えて帰国する桜井悌司前所長の後任として、渡邉裕司所長が着任した。
新所長の渡邉さんは現在五九歳。九〇年から四年間、次長としてサンパウロ事務所に赴任しており、今回が二度目のサンパウロ勤務となる。以前にはリマ(ペルー)、神戸のジェトロ事務所で所長をつとめた。
十七日に着任したばかり。「町に新車が増えて、アルコールの甘酸っぱい臭いもなくなりましたね」と十数年振りのサンパウロの印象を話すとともに、「インフレが落ち着き、輸出も増えている。ある意味で先進国の域に達していると思います」とブラジル経済の成長を評価した。
中南米で長年勤務し、日本でジェトロの展示事業部長をつとめた桜井前所長は、〇三年十二月、サンパウロ事務所長として着任した。「当時は日本企業、ブラジル企業のどちらもお互いに関心がありませんでした」と桜井さんは振り返る。
「どうすれば関心をもってもらえるかを考えた」という桜井さん。二年四カ月の在任中、日本やブラジル国内各地でセミナーを手がけ、ブラジルの情報を日本に発信した。
両国首脳の往来、Brics効果もあって、現在、日伯の経済関係は大きく改善している。昨年十二月には日系三十四企業によるミッションが来伯した。今年も日伯双方でミッション派遣が検討されているという。「今後は投資や事務所の開設が増えてくるのでは」と桜井さんは見通しを語る。
ブラジル日本商工会議所のコンサルタント部会長としても、活発にセミナーを開催。ビジネスに関するものに限らず、駐在員向けにサンパウの魅力を紹介するセミナーを開くなど、幅広い活動を展開した。
昨年には文協で日系団体のイベントについての講座を開催。活動の幅は「本業」にとどまらなかった。二年後の日本移民百周年について聞くと、「まず優先順位を決めること。また、事業を実行に移すためにも事務局の強化が必要」と話した。
桜井さんは二十四日に帰国。その後は東京での勤務が決まっている。渡邉所長は「桜井さんが蒔いた種、任期中に築いてきたものをベースに、惜しまず活動していきたい」と抱負を述べた。