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経済成長より投資格付け=政府、国際金融市場へ本格参入

2006年3月22日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二月十五日】この間まで経済成長率が議論の対象であったが、いつの間にかルーラ政権の経済政策は、「投資格付け」にすり替えられた。雇用創出と貧困撲滅を目指した経済成長率は、もうどうでもよい。経済成長率はもはや、ブラジルというケーキの飾り物ではなくなった。
 途上国債券のリスクは、ムーディやスタンダード&プアー、フィッチなど民間の格付け会社が記号表記で行ってきた。この記号で投資家らは、右往左往してきた。この投資格付けで及第点を貰うと、年金基金や投資ファンドが買い出動に出る。そして無名の証券には鼻も引っ掛けない。
 「投資格付け」といい出したのは、政府の公債が国際金融で優良債券として認められたからだ。政府はこれから、本格的に国際金融市場へ参入するらしい。企業の資金需要ではなく金融市場の動向で、金利政策も決める方針のようだ。
 「投資格付け」の優良評価を取得する戦略は、容易に判断ができる。デフォルトを行ったアルゼンチンの反対を行けばよいのだ。ブラジルも八〇年代、二回モラトリアムをやったのを覚えているはずだ。モラトリアムの屈辱を忘れたのか、PT左派には債務不履行もやむなしというバカがいる。現在でもモラトリアムを避けるには、政府の債務不履行は仕方ないという政治家がいる。
 「投資格付け」は本来、基本金利にリンクするべきでない。基本金利は通貨の流通量とインフレを制御する中央銀行の道具である。通貨の流通量が金利を決める。また債務に対する基本金利の負担額で、発行する債券の量が決まる。
 ブラジル経済の屋台骨に無理をしない債務率は、国内総生産(GDP)の四九%という歴史的ジンクスがある。優良「投資格付け」を保つのは、低金利政策ではなく、国庫庁による固定金利債券の発行である。固定金利は現行金利より大幅に低く設定される。
 レアル建て国債を購入する海外投資への免税措置も、固定金利債券と同じ流れである。こうして債券の金利を超低利に設定すれば債務も左程増えない。政府経費の削減も容易になるし、余剰予算も生み出せるので公共事業にも投資できる。