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アウキミン知事反撃開始=大統領選=支持率23%へ上昇=短期間で現職との差縮める=性格的に対極にある両者

2006年3月21日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】調査会社ダッタフォーリャは十八日、ブラジル社会民主党(PSDB)の公認候補に指名されたアウキミンサンパウロ州知事が支持率を一七%から二三%へ押し上げ、反撃を始めたと発表した。一方のルーラ大統領は、四三%から四二%へやや下降した。決選投票が今日行われるならば、ルーラ大統領五〇%に対しアウキミン知事三八%で、現職がまだ優勢である。しかし、二月調査の五三%対三五%から短期間に差を縮めたのは、セーラ支持票が移転したためで、さらに今後移転はじわじわ続くと思われる。
 PSDBは、アウキミン知事の支持票が全年齢層と全地域に広がり、拒絶票も大統領より極めて低いので今後の伸びを期待している。有権者の大部分を占める南東部でルーラ三六%にアウキミン三二%で、ほとんど拮抗している。南部はアウキミン二八%にルーラ二四%。拒絶票はルーラ三三%で、有権者の三分の一が反ルーラである。一方、アウキミンはわずか一六%だ。
 ルーラ大統領とアウキミン知事は、八〇年代から知り合いであった。大統領は八二年、誕生間もない労働者党(PT)からサンパウロ州知事選に立候補した。同知事は無名の州議。大統領はコーヴァス前知事とは同じ臭い飯を食った間柄で、側にいたカバン持ちがアウキミン氏であった。大統領にとっては、アウキミン知事は演説の下書きをするカバン持ち位なのかも知れない。
 両者がブラジルを沸かせるような対決をするのは初めてである。ニックネームで呼び合うトゥピーニズムでは、大統領が「ヒゲを生やしたガマガエル」、知事が「隼人瓜のアイスキャンデー」である。
 両者は性格的に対極にある。大統領が雄弁なのに対し、知事は訥弁。前者が大衆煽動に対し、後者は理路整然。コリンチアーノに対しサンチスタ。汗臭いシャツ姿の大統領に対し、櫛目も乱れない丹精な着こなしの知事。大雑把に対し完全主義。TVドラマ愛好家に対し詩篇朗読タイプ。大統領にとって宗教はなんでもござれ、知事は敬虔なカトリック教徒。
 アウキミン知事はメモ魔である。応対したら、必ず要点をメモする。部下が約束したら、必ず実行させる。約束が守れない者には情け容赦ない。メモと約束遂行は、アウキミン家伝統の仕来りだそうだ。知事の数字の記憶は、コンピューター並みといわれる。知事公邸の吸殻ポイ捨ては厳禁。
 大統領は、数字で記憶するほど辛抱がない。大統領のファイルには、話の要点だけで数字はない。大統領はうるさいが、失敗した部下をクビにできず悩む。足踏みする省庁の責任追求で閣僚を呼び出し、最初は剣幕で叱るが、最後は抱擁し円満解決で終わる。
 両者の対決が近づくに従い、PSDBはリズムに合わせて踊るゴーゴーダンスを知事に教えるという。大統領は、聴衆に合わせて話し方を変える。文法を間違えると、北東部の昔話でごまかす。一口話や熱狂的ファンのコリンチアンスは、得意である。サッカープレイはアレの要領でという。