最高裁がCPI証言を阻止=大統領府の要請で=野党激怒、財務相の辞任要求=「証言は政治的駆け引き」
2006年3月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】最高裁は十六日、ビンゴCPI(議会調査委員会)証人喚問を阻止するヴィアナ上議(労働者党=PT)の仮処分要請を受理し、パロッシ財務相の疑惑関与を証言した管理人の証言は五十五分で打ち切られた。この仮処分要請は大統領府で立案され、最高裁へ提出された。要請受理は野党を強く刺激し、最高裁と議会の間に新たな火種を投じることになりそうだ。ブラジル社会民主党(PSDB)と自由前線党(PFL)が、財務相の即時辞任を要求した。緊張の高まりは、PSDBの大統領公認候補決定とはからずも符号した。
管理人の五十五分にわたる証言で、ルーラ政権の大黒柱であるパロッシ財務相の首がもう少しで落ちるところだった。政府は、権利保障令の適用を要請することで管理人の口を封じた。最高裁のペルーゾ判事による仮処分受理は、ビンゴCPIのモラエス委員長の手に届くのが遅かった。
管理人はただならぬ雰囲気の中で「殺されても供述に間違いはない」と証言し、首都のリベイロン・プレット共和国は、不正資金山分けの隠れ家であることを主張した。管理人の証言はCPIの調査対象ではないとするヴィアナ上議の抗弁が、ペルーゾ判事によって受理された。
同上議の仮処分要請には管理人の喚問阻止だけでなく、サント・アンドレ前市長の殺害事件や裏金疑惑、リベイロン・プレット市の汚職疑惑もCPIの調査対象から外すことが含まれていたが、最初は全面的に拒絶された。それで至急、管理人の喚問阻止だけの要請に書きかえて、ペルーゾ判事に受理された。証人喚問阻止の受理は議会に対する最高裁の挑戦状とみなされ、三権分立の精神を侵害すると理解された。野党の上議を始め連立与党の元閣僚らも同措置に立腹し、財務相の首級を要求した。
パロッシ財務相の側近が、財務相の個人的人柄は潔癖で不正資金の山分けに参加するような人物ではないと訴えた。サウバッチ女性上議(PT)は、ビンゴCPIを減点ゲームで要人を葬るビッグ・ブラザーだと糾弾した。
財務相陥落の噂で持ちきりのブラジリアで十六日夕、大統領府が同相の辞任はあり得ないとする声明を発表した。大統領自身も記者会見に応じ、財務相辞任を強く否定した。しかし、議会の戦闘態勢は変わらないし、管理人は重要参考人として連邦警察の特別保護下に置かれた。
最高裁は、管理人が豪邸で山分けされた現金の出所を知るよしもないとした。あたかもリベイロン・プレットで喝揚げした違法資金であるかのように、CPIが誘導訊問を行ったとみている。証言は政治的駆け引きの道具であり、犯罪を立件する状況証拠にはならないという。
ビンゴCPIにタガを嵌めようとしたヴィアナ上議の仮処分要請は後日、最高裁法廷で残りの部分を検討される。仮処分の有効期間は、明示されていない。CPIの権限範囲と調査対象は、最高裁が立法府の権限も含めて吟味する。