2006年3月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】打ち続くドル安レアル高の中で、政府の為替対策が不透明の域を出ないことを反映して、工業界では国産品を輸入品に切替える動きが顕著になっている。工業品に限らず一般消費財も輸入が急増、今年二カ月間の輸入累計は昨年同期の二三%増となり、今後も上昇するとみられている。
外務省貿易局によると、この期間の昨年対比は、消費財で二九・一%、資本財が二三・五%、燃料および潤滑油が一九%、工業原料および中間体が一二・七%とそれぞれ増加した。業界別では航空機および部品が六三・三%、医薬品が三八・八%、鉄鉱が三四・四%、電機が三四・四%、合成繊維が三二・九%、眼科治療器具が二〇・七%、化学品が一六・一%、プラスチックが一五・四%、工作機械が一三・二%の増加を見た。
これまでにドル相場は二・一一レアルと昨年四月から二三・六六%の下落となり、二〇〇一年三月の二・〇八五レアルの安値に次ぐ記録となった。これによりレアル建の商品は競争力を失い、輸入品とくに中国産品に市場を奪われる破目となった。
これまで製靴業界と繊維関連が中国の攻勢に太刀打ちできず屈しているが、ここにきて木材業界と自動車部品が深刻な状況に追い込まれている。木材製造業、とくに合板では中国製品が輸入関税などの諸掛を払っても国産品より四〇%安い現象を見せている。このため家具や建代を輸出する業者は中国製合板に切替えている。
木材製品は歴史的にブラジルの一大産業だっただけに、業界では「よもや中国製にとって代るとは」思ってもみなかったと語っている。製品の四五%を米国に輸出しているファック社では原材料の輸入により、二八十人の従業員を七十人に削減することを決めた。
自動車部品は輸入品価格が一〇%から一五%と安いため輸入が昨年比二三%増加しており、今後もさらに上昇するとみられている。ベアリングの大手SKFは輸入品が国産より二〇%から二五%と低価格のため、アルゼンチン、ドイツ、インド、中国、フランス、イタリアからの輸入に切替えている。