2006年3月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】最高裁の決定により仮釈放制度が法文化されて実施の運びとなったことから、サンパウロ州のみで年内に四万三千人の重罪服役者に権利が生じ、恩典を享受できる可能性がでてきた。
このうち二万五千人は麻薬取締法違反で逮捕された麻薬組織団員だという。法令は今年二月に発令された。それにより刑期の六分の一を服役した受刑者は、一率仮釈放の申請ができるようになった。これまでは刑務所内に設けられた特赦委員会の委員が服役態度や更正意欲などを見て個別に裁判所に申請し、判断を仰いでいた。
仮釈放といっても全面的に自由が与えられる訳ではなく、日中は出所して自由に行動できるが、夜は刑務所に戻り一夜を過ごすことが義務づけられるセミ・アベルトというブラジル独特の制度だ。この制度は逃亡を防ぐ、いわゆる保護観察(実際には数多くの逃亡者が出ている)と、夜半に多発する犯罪の再発を防止するのが目的とされている。
これまでは通学や勤務先が固定している服役者に優先的に適用されてきた。プロサッカーの通称アニマルことエジムンド選手(現在パルメイラ所属、日本でもプレーした経緯がある)が交通事故致死事件でこの適用を受け、刑務所からサッカー場に通ったことは広く知られている。
制度が実施の運びとなったことで、四月が申請のピークとみられている。申請には必要書類が多く、準備に時間がかかる。適用の可否は裁判所の判事があらゆるデータを収集して行う。判事側は結論が急がれることから多忙を極めることで難色を示している。
一部では最高裁決定を無効とする提訴の動きも出ている。司法当局では申請がピークを迎えた時点には臨時職員を雇って処理させるとしている。