2006年3月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二月五日】〇五年にブラジル経済をオランダ病と診断し警告したのは、ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団のナカノ教授であった。中央銀行はその後、ドル買いに本格介入をしたが効果はなかった。セウソ・ミング教授は再々、ブラジルの為替問題に言及した。オランダ病の症状は八〇年、オランダの北海ガス田開発で現れたと。
当時は第二次石油ショックであった。オランダ政府はガス輸出で、大量のドル通貨を受け取っていた。そのためオランダ通貨のフローリンは高騰。為替率は甚だ不利となり、国際競争力は激減し、経済成長率が落ち込んだ。
現在のブラジルの状況に似ている。アジア諸国によるブラジルの一次産品購入で、ブラジルに流れ込むドルの洪水は止まりそうになく、国内のメーカーはそれに溺れかけている。
経済診断によれば、事態救済のために解毒剤を用意しなければならない。一次産品輸出がもたらすドルの洪水で、ブラジルの家の中は床上浸水となり、中銀はひたすらドル購入で浸水を汲み出している。
中銀は症状に対する治療に懸命だが、原因の究明は忘れている。この治療は、長期間を要するものではない。ドル購入は高い治療費となり債務を増やし、経常収支の負担になる外貨準備高を積み上げている。外貨準備高は国家経済に余り重要でないばかりでなく、最後には悪性コレステロールを引き起こす。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)が提案しているコモディティに対する輸出税の課税、税収で基金を設置し被害の大きい分野への支援に当てるのも一案である。過去にあったコーヒーや砂糖の輸出税による在庫調整の復活もある。
他にはレアル通貨の高騰を抑え、ドル需要を増やす輸入の奨励である。輸入に対し課しているPISやCofinnsを中止すること。これには多くの共鳴者がいる。
チリ方式の導入もある。チリでは輸出の四〇%を占める銅の国際価格が高騰すると、公共支出の一部を銅で決済する。こうして基本金利を下げ、国内の通貨流通量を増やし消費を盛り上げる。すると輸入も増え、為替率が均衡する。
いずれにしてもブラジル経済は、もっと体力を付ける必要がある。ドル暴落に無為無策で拱手傍観をするなら、ドルは二レアル以下へ落ちる。その先はどうなるのか。