ホーム | 日系社会ニュース | HAVAIANAS=日本移民が持ち込んだ草履が原型サンダルが日本へ逆輸入=阪神特別モデルから二万ドル特注品まで=商議所で講演=世界進出の立役者

HAVAIANAS=日本移民が持ち込んだ草履が原型サンダルが日本へ逆輸入=阪神特別モデルから二万ドル特注品まで=商議所で講演=世界進出の立役者

2006年3月11日(土)

 〃自由で楽、シンプルなハワイアーナはデモクラシー商品〃。日本を始め、海外で人気の「HAVAIANAS」を世界ブランドに押し上げた立役者、平田アンジェラさん(貿易担当取締役)が九日、ブラジル日本商工会議所でセミナー「HAVAIANASとブラジルファッションのブランド確立戦略」を開いた。同会議所主催。「貧しい人が履くイメージを変え、価値を持たせて市場を拡大していく」。商品のブランド化成功の秘訣と将来の展望について、約三十人の参加者が耳を傾けた。
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 輸出マーケティング戦略の責任者として、二〇〇〇年から世界市場開拓のため、ブランド化計画に乗り出した平田さん。
 「ハワイアナスはかつて、雑貨屋で段ボール箱に詰め込まれて売られており、貧しい人が履くものといったイメージが強かった」。そう過去を振り返る。
 HAVAIANASブランドを生産するSAO PAULO ALPARGATAS S.A.社は現在、世界九十カ国に輸出、年間売り上げは十二億レアル(海外輸出の割合は十%)に上る。品目はサンダルが四十三%、スポーツグッズが三十五%を占めている。サンダルの現在までの総販売数は二十八億足。
 直接的な宣伝は行わず、イベントやディスプレイに趣向を凝らすことにより、メディアを意識、商品に価値観を与え、ブランドとして確立してきた手法が平田さんの経験とおだやかな語り口調で語られた。
 アカデミー賞にノミネートされたハリウッド・スターなどのセレブ達に贈ることにより、マスコミへの露出度を高め、スーパーモデルのナオミ・キャンベルを登用してのプロモ化にも成功した。
 ファッション界の有名ブランドとのコラボレーション製品も多く、二万ドル値が付いたサンダルは、すでに十二足が販売されている。
 「カーニバル、インヂオといったものではなく、違う価値観を与えることを心掛けた」。ブラジルの新しいイメージ化にも腐心、上中流階層に存在感を発揮するブランドに育て上げた。 フランスのギャラリーでは、サンダルを使ったアート展を開催、オークションも行った。ファベーラの子供たちの作品が二千ユーロで買い取られたという。
 日本市場に対しては、京友禅の老舗「千總」と和をイメージしたサンダルをデザイン、〇七年から販売することを明かした。
 昨年、阪神タイガースモデル二万足を輸出したが、「(日本シリーズで敗退したので)売り上げはあまり良くなかったのでは」と話し、会場からは笑いも起きた。
 昨年度は一億四千八百万足を販売、右肩上がりの経営状態だが、「頂点に立ったらどうするか、ということを常に考えている」と平田さん。
 これからもプレミアムマーケットを確保したうえで、北半球市場でオールシーズン対応を視野に入れた関連商品の開発に重点を置いていくという。
 すでに靴下の販売も始めているが、「あくまでも社のインデンティティを失わない形での参入を考えている」と話した。
 「国民性を知るのが一番大変だった。方針としては各国のスタッフを信頼して常にコミュニケーションを図ることが大事」と世界進出で常に心がけてきたという秘訣を語った。