2006年3月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ市西部と南部地区で蚊が異常発生し、大群が人家に侵入して住民が夜も眠れぬ程の被害が続出して、苦情が寄せられている。
最近普及している電動レペレントと呼ばれる防虫装置をつけてもお構いなしに侵入し、マンションの九階では一度に五〇匹を叩き殺した夫婦もいる。また壁に停まった大群をいちいち殺していては間に合わず電気掃除機で吸い取る家庭も出た。家人は虫よけを手足にすりこんで寝る日が続いている。殺虫剤を買いに行ったスーパーで蚊に刺されたという笑えぬ笑い話もある。
被害が甚大なのはジャルジン・パウリスタノ、ピニェイロス、アルト・デ・ピニェイロス、ヴィラ・マダレナ、ブルックリン、モエマ、モルンビーの各区でピニェイロス川の周辺だ。他地域への拡大も懸念されている。
サンパウロ市保健局によると、ここ数週間続いた高温と乾燥が蚊の大発生を促し、ピニェイロス川の水藻の駆除と、川辺の草地の清掃が遅れたことが異常発生につながったと指摘している。ピニェイロス川とその周辺の管理はサンパウロ州水道エネルギー局で、同局では怠慢による遅れではなく、水藻も異常繁殖したのが原因だとしている。
しかし、市当局ではこれに反し、州の対応の遅れが原因だと非難している。市当局では昨年十一月以来、清掃は部分的にしか行われておらず、本格的に開始したのはカーニバル以降だとしてこれが異常発生をひき起こしたと指摘する。通常、蚊は卵から成虫まで十二日間要するが、夏場での高温では九日間となる。このため三日間の仕事の遅れが蚊の大発生につながると説明している。
これに対し州側では、四月から九月までの時期は二カ月に一度の割合で清掃するが、夏場は清掃員六十人を投入して十五日置きに作業していると反発、責任のなすり合いは水掛け論へと発展している。
市当局は蚊を駆除するため、八日から駆除実働隊を出動させた。同隊は五台の軽トラックに大砲まがいの殺虫剤散布機を載せて、先ずピニェイロス地区から始まった。三日間でブタンタン、サント・アマレロ、カペラ・デ・ソコロ地区を巡回する。今後三十日間置きにピニェイロス川河川敷の二七キロに及ぶ区域を駆除することを決めた。