2006年3月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】政府が現在検討を進めているテレビの地上デジタル放送の規格をについて、日本方式が有利と一部報道されたが、有力ライバルの欧州方式との綱引きは政府の最終決定まで緩みそうにはない。
日本方式(ISDB)の採用実現に向けて日本側は、ブラジルのテレビ局がアナログからデジタルに転換する費用として五億ドルを融資することを提案した。資金は国際協力銀行(JBIC)が用意する。また大学と研究機関が参加するブラジルデジタルテレビシステム(SBTVD)の研究グループに協力し、オペレーションシステムとして機能するソフトウエア、ミドルウエーブとブラジルで開発されたアプリケーションとの統合にも賛成した。技術協力に対するロイヤリティの支払も免除するという。
一方、欧州側は欧州開発銀行を通じた四億ユーロの融資と、ロイヤリティをEUがブラジル製テレビの輸入関税をゼロに引き下げるための調査研究費に再投資することを提案している。ヨーロッパ方式(DVB)は世界で最も広く採用されており、サプライヤーの数の点で、日本方式に優ると主張する。
またDVBを採用している携帯電話メーカー大手のノキアは、日本方式に適合させた携帯電話をブラジルで製造する気はないことを明らかにした。日本市場でGSMが使用されていないことをその理由に挙げた。
訪英中のルーラ大統領は八日、デジタル放送の規格について明言を避けた。また、パロッシ財務相もまだ決定されたわけではないと述べた。ロウセフ官房長官は同日、半導体工場の建設が規格採用の議論のポイントになる、九日にも会合を開きその可能性について分析したいと述べた。