2006年3月9日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】今年の大統領選挙に向けて統一候補指名の最終調整に入ったブラジル社会民主党(PSDB)党内で、これに絡んだ新たな動きが取りざたされ、注目されている。
この動きとは、大統領候補の一翼を担うセーラサンパウロ市長を、同時に行われるサンパウロ州知事選に担ぎ出そうというもの。次期州知事選はアウキミン現知事が大統領選出馬を早々と表明したことで、党として後継候補は未定となっている。というよりは大統領選に注力することでサンパウロ州知事選は二の次として重視されなかった。
知事の席を押さえることで、サンパウロ市(たとえセーラ市長が大統領選で辞任して自由前線党=PFLの副市長が昇格しても連立政権は維持できる)との絆を固くすることが出来るとの読みが先に立っている。
ここにきてサンパウロ州知事選がクローズアップされた背景には、先にIBOPが行った世論調査でマルタ前市長(PT)が支持率でトップに踊り出たことにある。そのためPSDB首脳部はサンパウロ州でPT候補が指示を伸ばすと大統領選にも影響が出るのは必至として、急きょサンパウロ州政権の死守を決意した模様。
セーラ市長が信頼する複数の側近に語ったところによると、首脳部から内々の打診があったという。党首脳部でも選挙参謀の三銃士といわれるカルドーゾ前大統領、タッソ党総裁、ネーヴェス・ミナス・ジェライス州知事に同市長を交えて密かに会談が行われた際に打診があったという。同市長はあえて異論をはさまなかったとのこと。
首脳部の見解はこれにより中央とサンパウロ州(サンパウロ市も含め)を一本化しようというもの。この中で、セーラ市長がサンパウロ州にとどまり、サンパウロ市を全面的にバックアップすることで、サンパウロ市長選での支持者への裏切行為にならないとの見方を示している。
セーラ市長は、大統領をはじめとする党の決定はすべて満場一致が条件だとする従来の姿勢を崩さず、今回のサンパウロ州知事選出馬も、党の一致した意向であれば従うと、柔軟な姿勢を見せている。