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コラム 樹海

 二十四日からカーニバル――。本場リオのカーニバルにはなくてサンパウロ市にあるものは何か? それはトルシーダ(サッカー応援団)が中心になったエスコーラ・デ・サンバだ▼リオのサンバ校連盟は、当初からトルシーダ系サンバ校のグルッポ・エスペシャルへの参加を禁止してきた。しかし、サンパウロにはガヴィオン・ダ・フィエル校という、ブラジル最大規模を誇るコチンチャンス応援団があり、八〇年代からエスペシャルに参加▼二十一日、サンパウロ市サンバ会場に運び込まれたばかりのマンシャ・ベルジ校の山車二台が燃えた。ここはコリンチャンスの宿敵パルメイラスのトルシーダ系校だ▼サンパウロ市サンバ連盟の規定により、二つ以上のトルシーダ系校がエスペシャルに入ったら「スポーツ系校」という新カテゴリーを作って、従来のとは別に採点することになっていた。今年あがってきたマンシャのために、ガヴィオンも従来のカテゴリーから外されかかったが、この火事のためにマンシャは「招待参加」になり、晴れてエスペシャルに戻った…。サッカーのゴタゴタを持ち込むのは止めてほしい、とサンバ関係者はうんざり▼東洋人街にあるサンパウロ市最古一九三七年創立のラバペス校は五〇~六〇年代には隆盛を誇ったが現在は最下層。日本人最初のサンビスタ、山本マサヨシさんが打楽器を戦時中に習ったかつての名門校。このような歴史はサンパウロ市ならでは▼この時期、国内にはレシフェのフレーボやマラカツ、サルバドールのアシェなど多彩な音楽や踊りがあふれる。あえて強調したい。リオだけがカーニバルではないと。この多様性こそがブラジル文化なのだ。(深)

 06/02/23