2006年2月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】最高裁は十六日、司法機関に公務員資格のない親族などを信任職へ縁故採用することを禁じる裁決を下した。法務審議会(CNJ)が公務員第三級職まで非正規に採用した親族の解雇を命じた決議は合憲であると、最高裁が賛成九票反対一票で歴史的表決を下した。司法官協会(AMB)の支援でカルロス・A・ブリット判事が、司法官の縁故採用は公的機関を私的機関として扱う公私混同であると、法務審決議の合憲性を認める提議を上程した。縁故採用は信任職の私物化であるという。ABMは今後、司法官の私的派閥関係についても合憲性を求めるとしている。
裁決は司法改革の一環となりそうな決断である。最高裁長官とCNJ委員長を務めるジョビン長官が、裁決に服さず縁故採用を継続する全ての裁判長は、職務執行法違反として訴訟の対象となり、解任と罰金刑はもとより政治活動も禁じられると述べた。裁決にはメーロ判事のみが反対票を投じ、司法官に対する法務審の権限を否認した。
公務員試験を受けず、縁故採用で信任職に就任した司法官の親族が、全国に八百八十七人いる。最高裁は司法官の公私混同が、国家のモラルを害すると判断した。ここ数週間に、十八の州で親族や個人的関係のある職員が多数採用された。司法改革のために裁判官と弁護士、検察官などによって組織されたCNJが動き出したようだ。CNJの委員長は、最高裁長官が陣頭指揮を採っている。
私的徒党関係を結び、組織内組織を形成する縁故採用は、植民地時代の遺習だ。さらにさかのぼると法王庁で、次期ローマ法王に甥や従兄弟を就任させる習慣があった。甥や従兄弟を側近として優遇する習慣が、ブラジルの法曹界へ持ち込まれ悪用されたようだ。
法曹界に限らず政府内に根を張っている派閥や族議員は、ブラジルの発展を損なっている。特に公社内は公儀よりも私的派閥関係が優先する。この悪習を断ち切るには、植民地時代の習慣の是正から始めねばならないようだ。
ABMのコラッソ会長は縁故採用阻止の第一歩として、執拗な抵抗があるものの最高裁裁決の順守と徹底から始めるという。ABMは司法府に続いて、派閥組織の伏魔殿立法府にもメスを入れる。議会にも公務員試験を経ず、縁故採用をされた職員が多数いる。
解雇の対象となった法曹界の縁故採用組は、ミナス州が最高の三百六人。続いてパラナ州の百七十六人、パラー州の百十三人、セルジッペ州の七十七人、アマゾナス州の六十五人、エスピリット・サント州の六十三人、トカンチンス州の二十九人、セアラー州の二十三人となっている。
ブラジル弁護士会(OAB)もABMの援護射撃を表明した。検察庁や検察局を動員して、全国の政府機関に縁故採用の有無を調べるという。まず法曹界で模範を示し、立法府と行政府がそれに倣う方針である。指導的立場にある裁判長と司法官が縁故採用の阻止を率先すれば、容易に規律が守られるとOABはみている。法の番人である法曹界は違反者の監督も容易である。