2006年2月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】北東部の農業融資につき、上院が十四日の国会で債務返済の繰延べを議決したことに対し、ルーラ大統領が拒否権を発動する意向だ。
上院決議は農業融資の返済期限を一律二十五年間以上に繰延べするとしているが、大統領はこれを拒否して新たに大統領暫定令として、中小規模の営農家に限り十年間の延長を認める措置を発令するとしている。内容の詳細は未発表だが、メルカダンテ労働者党(PT)国対委員長が大統領の意向として明らかにした。
これに対して野党議員らは一斉に反発、政府との対決姿勢を示している。中でも旗頭のボルジェス上議(自由前線党=PFL)は暫定令に上院議決案の内容をより多く盛り込むよう政府に申入れるとした上で、債務繰延べを必要としているのは中小農家ではなく大営農家だとして、政府のピント外れの政策を批判している。また政府の農業政策の欠落として、今年の選挙キャンペーンの政府攻撃のテーマとして取り上げると意気まいている。
国会では北東部出身のいわゆる農業族議員がかなりの権力を発揮していることから、政府がこの問題でどう対応するのか注目される。また、北東部農業連盟では、農業従事者を失業に追い込む措置だとして、「国家の恥」と決めつけている。
上院議決は一律二十五年の債務繰延べで年利を一・五%とするものだが、政府案は中小農家に限り、年利六%から八・七五%で十年間に限定するとしている。メルカダンテ上議によると、三万八〇〇〇件の融資を二十五年間延長すると一一七億レアルの資金を要する。
このうち国庫負担が七〇億レアルで、公共支出としては他予算と比し割合が高く不公平となるとの見解を示している。さらに三万八〇〇〇件のうち、大営農向けがわずか五十九件ながら、融資総額は六〇億レアルとなっている。
これら農家はサトウキビ栽培が主流で、昨今の砂糖やアルコールの高値で収入が増えており融資返済の延長の対象にならないとの見方をしている。
またこの融資額は八〇〇万人の貧困層が受けている貧困家族手当に匹敵しており、一部を優遇する政策は取れないとの態度を強調している。