2006年2月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】外国為替市場は十三日、一ドルが二・一五三レアルと五年来の最安値を付けた。ドル通貨は過去一年間に累計で七・四%下落。十七日に審議予定の国債購入を目的とする外資に対する免税措置が、今回のドル下落の原因と見られている。ニューヨークの国際金融筋が、レアル通貨の高騰とドルの下落は当分の間続き、ブラジルの中央銀行にこの流れを阻止する能力がないとコメントを発表した。ブラジルの好調な輸出と魅力的な高金利政策に引き寄せられて押し寄せる投資資金、ドル通貨の津波を防御するだけの管理能力が中銀にはないと分析している。
レアル高ドル安の為替攻勢は、ブラジルの産業にどう影響しようとしているのか。ブラジルに現在押し寄せているドルの津波は、中銀の手に負えるものではないと米金融筋はみている。カントリーリスクも、ブラジル金融史上最低の二二六ポイントにまで下げた。
十三日の為替市場はドル反発の気配を見せたが、IPCA(広範囲消費者物価指数)修正付き国債NTN―Bsの競売が始まるとドル相場は急転した。NTN―Bsは、需要のバロメーターとして海外投資家に魅力があるらしい。それに国債購入の外資に対する免税措置のオマケが付く。
NTN―Bsの売れ行きは好調で、ブラジルの国債に対する外資の関心が高いことを如実に示した。これでドルの流入に拍車がかかり、産業界は確実に落ち込むと思われる。ブラジルは金融経済の国か生産経済の国かの判断に苦しむ。
ドル通貨の下落には、通貨の先物市場で外資系ファンドの大売出しも手伝っている。同ファンドはブラジルのカントリーリスクの続落と二月第二週の貿易黒字を強調し、レアル通貨の値上がりを保証している。それに、国内市場における高金利政策の配当も大きいと宣伝する。
中銀が十三日、為替市場へ介入して一億五〇〇〇万ドルを買い上げたことで、津波をマナ板で取り押さえるものだと国際金融筋が評した。津波は沖合の大洋で、自然の力によって形成されるものである。中銀が何のためにドル介入をしているのか、風車に挑戦するサンチョ・パンサにしか見えないと皮肉った。
ドル介入がレアル防衛に取り組む中銀の自爆テロなら、二〇〇六年上半期に一ドル二レアルを割ることを想定せよと、国際金融は警告する。中銀はその後の延命策を考えるべきで、無駄なあがきは止せと忠告した。レアルの高騰はブラジルの産業に打撃だが、国家経済に影響は少ないという。
輸出業者は二年前からドル安が貿易収支を損なうと訴えたが、それは杞憂であった。国際金融筋はブラジルの〇六年度貿易黒字は、〇五年度より好調であろうと見る。だから為替問題はブラジルの国内問題だというのだ。
ブラジルのライバルであるオーストラリアやニュージランドでも、同様の為替問題がある。しかし両国は、ブラジルのような醜態を見せない。どこが違うか。ブラジルの中銀は怠け者で勉強不足だと国際金融筋はみている。