2006年2月9日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ルーラ大統領は七日、住宅購入の促進と土木建築業界発展のため建築資材のIPI(工業税)減税案を発表した。政府は減税による公的資金と民間資本を動員し百八十七億レアルを立ち上げ、住宅ローンに当てる計画であると述べた。同減税案は八日、アフリカ訪問前に公表するため早急に起草され、閣僚や国会議員、財界代表、社会団体代表を招いた式典で発表した。建材を中心に従来、一〇%や一二%であった製品が、ゼロから五%に減税された。大統領は減税が、懸案の実施であって選挙運動の一環ではないことを強調した。
減税によって捻出される資金は、百三十五億レアルとされる。従来五%のIPIを課された水槽やガラス、鉄鋼、サッシ、材木、蛇口などは、免税となった。一〇%または一五%のIPIを課されたタイルや陶磁器、パイプ、塗料は、五%に減税された。
住宅ローンへの百八十七億レアルの内訳は、百億レアルが低所得者向けFGTS(勤続年限保障基金)によるローン。五億五千万レアルは、同じく低所得者向け新規ローン。六十七億レアルは、中流階級向け民間銀行によるローン。二十億レアルは、中流向けカイシャ・エコノミカによるローンとなっている。
中流階級向けローンの八十七億レアルは、ポウパンサ(貯蓄投資)による民間資金で民間銀行を通じて融資される。この金融制度(SBPE)は〇五年、通貨審議会(CMN)で承認された。CMNは財源確保のため、ポウパンサ資金を預かる民間銀行は、その六五%を、住宅ローンに貸し出すことを義務付けられた。同規定を履行しない民間銀行は、六五%に相当する資金を中央銀行に強制預託し八〇%のTR(指標調整)で修正される。
強制預託した民間銀行は、八〇%に〇・五%の月間TRが上積みされ、住宅ローンに融資しなかった罰を被る。同制度は見るべき効果があって〇五年、同融資総額が四十七億レアルに上った。
政府は〇六年度予算に、十二億七千万レアルを低所得者向け融資で計上した。さらに、低所得者向けFNHIS(住宅金融基金)から拠出する五億五千万レアルもある。これらの融資は低利なため、借りた融資金を分割返済しているに過ぎない親心的制度だ。
IPI減税の趣旨は、低所得者向けのマイホーム提供である。ブラジルで建築され居住している住宅の六〇%は、居住者が自分で見よう見真似で建てたとされる。低所得者の自宅建築を別名「蟻の家」という。先ず四つの壁が立ち上げられ、雨露を凌ぐ屋根がふかれて一部屋が完成する。四方八方へ下しができる。
同減税案に建設業界から熱い礼状が寄せられた。「蟻の家」大作戦が始まり、業界は活気付く。これまでにも蟻の家作戦は、大きな資金を要する訳でなく、その気になれば始動が可能であった。土木建築連盟は減税により果たして、建材が安価に消費者の手に渡るか、また減税が消費者にインパクトとなって実感できるか監視するという。