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(ベルゾイニPT党首)前大統領を告訴か=「PTは盗人」発言で=名誉毀損と誹謗のかどで=連邦令は刑事訴訟認めず

2006年2月8日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ベルゾイニPT(労働者党)党首は六日、カルドーゾ前大統領を名誉毀損と誹謗罪で告訴する意向であると発表した。前大統領が週刊誌イスト・エーのインタービューで「PTの倫理観は、盗人の倫理観。金銭の享受には、もっと透明であらねばならない」と述べたことで、PT党員を刺激したらしい。PT党首は、前大統領の評判がルーラ大統領より格段低いことで、自暴自棄の負け惜しみであると解釈。前大統領はさらに、ロダ・ヴィーヴァの記者会見で「ルーラ大統領は、未熟で大統領には無理。それとも裏金の事実を知りながら、とぼける大悪党か」と述べた。
 PSDB(民主社会党)とPTの大統領選前哨戦は、メーターを上げつつある。PT党首は前大統領が党を侮辱したとして告訴する手続きを八日、サンパウロ市の連邦裁判所で行うと発表した。前大統領は「昔のPTは清楚であったが、連立を組むために泥沼の中へはまった。ルーラ大統領は、汚職にいい加減であった」と記者に語った。
 前大統領の辛らつな発言はPTばかりでなく、ルーラ大統領個人にも及んだ。これまでのブラジルの歴史に見る汚職は個人プレイであった。しかし、今回の汚職は政府ぐるみの組織的汚職で前例のない悪質なものと、前大統領は糾弾した。いわば、政府のお墨付き汚職であった。
 汚職はPT組織の一部であり、体質でありシステムである。汚職に関する概念がPT政権によって塗り替えられたと、前大統領はいった。もし大統領が、この事実を知らなかったのなら、ルーラはハエを食べていたのだ。余程ハエが美味しかったのだという。
 PTの告訴宣言に続きPSDBのヴィルジリオ上議が、前大統領発言は議会調査委員会(CPI)の捜査結果に基づき、政権と党ぐるみの組織的かつ構造的な汚職関与が立件されたもので、PTを窃盗罪で訴える趣旨のものではないと説明した。同上議は声明発表に先立ち、上院法務委員会へ公表の了承を求めた。
 同上議は法務委員会で、PT政権がブラジル史上稀な犯罪組織を支援し本格的マフィアを形成したと説明した。高価な緘口令も布いた。組織のお膳立てをしたのはソアレス前財務担当だが、総指揮官はボスのルーラ大統領だと訴えた。
 PTには裏の党組織があると、PSDB事務局長のパエス下議がいう。PTが裏金システムを持っていることは、公然の秘密である。PTにとって社会保障院は高齢者の墓場、労働省は政治資金の稼ぎ場、党本部は犯罪人の隠れ場だと、同事務局長が告白した。
 ベルゾイニ党首が前大統領を告訴しても、連邦令により前大統領の刑事訴訟はできないので、最高裁が却下するはずだ。前大統領の刑事訴訟は、大統領を辞任した場合に限る。
 郵便局CPIも終盤に入り、上程者のセラグリオ下議は大統領の責任追及が洩れたと反省した。議会は責任追及の捜査が、洩れたと不満をこぼした。これまでの段階で大統領の責任追及は当然議論されて然るべきだったが、いまさら大統領弾劾をいっても時間が間に合わないと、関係者は地団太を踏んだ。