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コラム 樹海

 「あの道楽者が」と云えば非難・批判であり、極道に走る若者や放蕩息子などを指すことが多い。こんな手合いは、狭斜の巷に現(うつつ)を抜かし、遊女と戯れてもさっぱり反省の色はない。親父どのが怒鳴りつけでもすれば「その道を楽しんでいるだけです」と、世の極楽を知らないとばかりに見下ろす気配さえも見せる。と、こんな家庭の愛憎劇は今の世にもいっぱいある▼尤も、道楽にもいろいろとあって酒と色町とは限らない。ご老人の盆栽もあるし、盆景に浮かぶ自然の山水と景観に見惚れる御仁もいる。江戸の頃―熊本の武士は、菊の栽培に精魂を傾け新しい品種も多い。今の品種改良だが、これなども優雅な道であり、見事なばかりの「道楽」である。中国から渡来した鶏を改良に改良を重ねて作り上げた「チャボ」の名品もある▼近頃は愛犬ブームとかで名犬や猛犬の話題が多い。これまでのアパートは、犬の飼育は禁止されていたけれども、最近はOKが増えてきたという。愛くるしくて小さな犬が多く、冬ともなれば防寒のコ―トを着せたりもする。これはこれで大いに結構なのだが、ピットブルの人を噛む攻撃ぶりも凄まじい▼愛玩犬への盲愛ぶりは「狂気」に近いと知人は語る。犬とは云え風呂にも入れたいし、床屋での手入れも大切なものだそうである。そうした専門店も大繁盛。テリヤ系統やスパニエルを連れた愛犬家が押し寄せては「我が子」の自慢話しに華を咲かせ床屋と風呂代に100レアル払って颯爽とご帰宅あそばすそうだが、これも「道楽」とすれば安い、安い。 (遯)

06/02/04