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(最高裁長官)いかなる圧力にも屈せず=CPIは宗教裁判か=オカモト問題の波紋拡大=立法対司法の論争へ発展

2006年2月3日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】最高裁のジョビン長官はSebrae(零細企業支援センター)のオカモト総裁に対する銀行口座の開示申請を棄却したことで一日、最高裁が官や民の圧力やちょっかいに屈したことはないし、これからもないと「司法の年」式典で声明を発表した。一方、議会は最高裁長官の国会に対する挑発的裁決と理解し、長官弾劾の可能性を検討し始めた。長官の強硬姿勢に対し、司法界や宗教界、報道機関から〇六年大統領選挙への立候補の意向有無を質す公式文書が提出された。
 最高裁ジョビン長官の声明発表は、裁判官ではなく政治家のそれであった。ルーラ大統領の盟友オカモト総裁の口座開示を拒否したことで、議会から猛烈な批判を受けた二日後、長官は反駁した。ブラジルに起きていることを、外国と比較するなら嘆かわしい。テロ撲滅の名目で、国民の尊厳を守ると喝破した。
 良識の限度を超え世間への見せしめに、なぶりものとしプライベートを侵害、確証のない濡れ衣による断罪、果てしない時代錯誤のCPI(議会調査委員会)捜査は、中世の宗教裁判である。ビンゴCPIに対し間接的表現で報復した。
 長官は国民の基本的人権「自由」が、じゅうりんされているという。現実はいい加減な告発が、いつも罷り通る。舞台の役者とセリフが、変わるだけである。昨日は治安、今日は大衆へのアッピール。これが、ブラジルの歴史だという。
 長官は「司法の年」式典で、大統領と副大統領、法相、上下両院議長を前に声明を読み上げた。長官は最高裁の役目も潮時であり、次期大統領選でルーラ再選の副候補で出るか、国会へ里帰りするかが音沙汰されていると告げた。
 政策談義で長官は、大統領よりも政治と経済について口がよく動いた。国家を愛する気持ちでは、人後に劣らない。「我々は、働き泣き笑い踊り愛し、子供をしっかり教育する。正義が守られるため公正な裁判を執行する裁判官を養成する」と述べた。
 野党と支持者が自分に好都合な人民裁判法廷を築こうとしていると、長官が警告した。これは九月、下院が裏金関与のPT(労働者党)議員六人を処分しようとした際、長官が助け舟を出したことのようだ。郵便局CPIでは、エウロ証券とモレイラ社長の口座開示を棄却したことらしい。
 一方、最高裁長官は五日以内に大統領選への出馬意思を表明するよう、くつわをはめられた。出馬する場合は裁判官職務法に抵触するとして、即時長官辞任が要求される。長官留任は、声明発表の内容から選挙法に抵触するという。
 連邦令により裁判官の政治発言は、禁じられている。裁判官の政治発言や政治問題の裁決は、超党派的立場を取らねばならない。法令の定めでは長官出馬の場合、三月末を以って辞任となる。大統領選支持率調査で、ジョビン長官は僅か一%だ。最高裁長官としての振る舞いは、評価僅少といわざるを得ない。
 連邦会計検査院(TCU)は一日、Sebraeに対しPT系のNGO政治団体への資金援助を差し止めた。オカモト総裁は、同団体の顧問として関係している。TCUは同資金援助が、Sebrae本来の趣旨である零細企業の育成から外れているという。

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