2006年2月1日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十一日】中央銀行のロッペス理事は三十日、連邦政府と州、市の債務総額がついに一兆二十億レアルに達し、国内総生産(GDP)の五一・六五%を占めるに至ったと発表した。政府は九四年以来、血のにじむ未曾有の緊縮財政に努めたが債務の削減には至らなかった。公共部門は〇五年、債務の利子を払うためにGDPの四・八四%に当たる九百三十五億レアルの財政黒字を捻出した。これは、目標を百十億レアル上回った。債務肥大の原因は〇五年、金利負担のために千五百七十一億レアルを歳出したことにある。
財政黒字の捻出努力は、ハイパーインフレがレアル・プランにより鎮静して以来の快挙であった。緊縮財政への協力では、市と公社の努力が特記された。財政引締めの余り公共事業への予算交付が遅れ、政治問題にまで発展した。
官房長官と財務相の板ばさみになったルーラ大統領は、表向き財務相支持を表明したが、実際は選挙対策として官房長官の要求に従った。しかし、経済スタッフにとって最大のネックは,GDPに対する債務比率を五〇%以下に抑えることであった。
債務総額が一兆レアルのラインを超えたのは、ルビコン川を渡った感がある。公共債務は〇五年、四百五十五億レアル増えGDPに対し五一・六五%となったが、〇四年の五一・六七%から見れば安定しているといえそうだ。
GDPに対する債務率は、借金の返済能力を表す物指である。中銀の見方によれば、ブラジル経済は安定しており、経済成長の基礎条件も用意万端整っているという。しかし、公共債務が年々、増加するのは政府が税収以上に経費を歳出するからだ。最も大きい歳出は、金利である。
GDPの八・一三%に当たる金利は、大量に国債を抱える銀行や年金基金、一般投資家へ配当金として支払われる。中銀は〇四年、基本金利を一六・二五%としたが、〇五年は一九・〇五%へ引き上げ金利負担を増した。中銀が設定した基本金利が、公共債務を肥大された元凶らしい。
政府が金利負担の削減を図る道は、二つ。基本金利を下げるか、財政黒字を上げるかだ。政府は九九年以来、後者を採った。目標に達せず資金調達が出来なければ、赤字国債を発行して、屋上屋を建てる。
ルーラ大統領は側近会議で三十日、高金利は財政黒字がもたらす相乗効果を無にしたとため息をついた。〇六年の黒字目標は四・二五%とし、中銀の通貨政策を批判した。長期にわたった高金利は、常軌を逸していることを認めた。
官房長官に向かって「ジウマのいうことは、もっともだ」と大統領は告白した。〇五年末、官房長官と財務相の間で交わした「真昼の決闘」は、妙な結末を迎えた。財務相は三回辞表を提出し、大統領はなだめるのに冷や汗をかいた。
大統領は財務相に、大統領選再出馬の意向を伝えた。それには、締め過ぎた手綱を緩めてくれという相談だ。頑迷不屈の経済政策に融通性を持たせ、飴玉をバラ播いて援護射撃をしてくれという。