2006年1月31日(火)
中国の春節(旧正月)を祝う行事が二十八、二十九日、サンパウロ市リベルダーデ区であり、食べるも見るも中国一色の世界が展開され、訪れた大勢の市民を魅了した。
小気味良いドラや太鼓の音が鳴り響く中、迫力ある獅子舞が商店街を練り歩いた。駅前広場の特設ステージでは曲芸、太極拳といった伝統芸が披露され、目抜き通りの大阪橋には新年に食べられるというギョーザなどを売る屋台が並んだ。
ブラジル中国青年会議所が今年初めて行なったこの行事はブラジルメディアも関心。二十九日付エスタード・デ・サンパウロ紙は、「『年越し』にあたった二十八日正午には約三万人の人出があった」と伝えた。
日本人街として発展した歴史をもつ同区だが最近は中国、台湾系の商店が優勢。旧正月は中国で最も大切な節目とされるだけに今後、サンパウロ市の夏の風物詩として定着しそうだ。
イベントは両日とも昼夜通して行なわれた。主な街路には、あけましておめでとうを意味する「新年快樂」と中国語で書かれた赤いのぼりが立ち並んだ。さらに、同区のシンボルである街灯「すずらん灯」は別の装飾でおおわれ、「日本人街」としての表情が町から消えた印象も。
屋台が並んだ大阪橋は、食べ物を買い求める人でぎっしり。同区在住の四十代の日本人男性は「ここで行なわれるイベントでは七夕祭りが有名だけれど、それより混雑している感じですね」と驚いていた。
主催の青年会議所は中国らしさを盛り上げようと、スポンサーと共同し、赤い紙で出来た「すけ笠」や、くじ入りのクッキーの「お土産」を配布。同区を中国一色に染めた二日間を見事に演出した。
のぼりを立てるなど、行事に協力したリベルダーデ文化福祉協会(ACAL)の池崎博文会長は「初めてなのに素晴らしい運営。立派なものをやってくれた、町の振興にもつながり、感謝したい。プロの仕事かな? 装飾も見事なもの」と絶賛。一方で、新しい名物行事の誕生に「目が覚めた。(毎年東洋祭りや七夕祭りを手掛ける)自分たちももっとがんばらないといけないな」と話していた。