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イグアスー移住地=新成人に苗木と錦鯉贈る=14人が大人社会に仲間入り=「花」も「実」もある人生を=「錦」あるこども育てよ

2006年1月20日(金)

 パラグァイのイグアスー移住地で十四日、成人式が行われ、男性六人と女性八人、合わせて十四人の新成人が誕生、両親や先輩たちから温かい祝福を受けた。新成人たちには一対の苗木と一対の錦鯉の稚魚が贈られた。苗木はパクリ(Pakuri,学名Rheedia brasilensis)とペテレヴ(Peterevy,学名Cardia Longipetala)だった。苗木は、花も実もあ る永い人生を送って欲しい、という願いが暗示されている二本だ。錦鯉の稚魚には、幼少から命(いのち)を育てるのは容易なことではないが、いずれ錦のある子供を育てて欲しい、という親と移住地の総意が願望として込められているようだ。
 会場には婦人部が心をこめて作った、紅白もち、寿司、焼きそば、春巻き、肉料理など二十種類以上の和・洋・中華料理が並び、大人の仲間入りをした若者たちを歓迎した。
 一人娘が成人式を迎えたという佐々木由起さん(旧姓・石原、二世)が「嬉しさとさみしさが交差する心境」と言えば、娘(里香)は「まだ実感がわかないけれど、大人になったので、親から独立しなければいけないと思う」と応えた。そのそばで植村美由紀さんが「本当に嬉しい。日本で生まれるよりも、この国に来て苦労しながら育ててくれた親に感謝する気持ちを強く感じる」とイグアスー生まれ二世の誇りを代弁していた。
 全員が移住地生まれだ。「大人になったのだから、自分で仕事して、自分の力で生きて、自分で家族を持てるように頑張ろう、という気持だ」と気を吐いたのは西城徹くん。次男が成人したという園田八郎さん(鹿児島県)は「今までは準二世の成人もあったが、今年あたりから純二世が成人を迎える。この移住地も新しい時代を迎えつつある象徴だ。彼らが築くアイデンテティーがその次の世代に影響を及ぼすだろうが、今日の十四人は日本語が上手だし、しっかり者たちだから安心だ」と親の心境を語った。
 先輩の激励の言葉として、イグアスー日本人会の栄田祐司会長(福岡県)が「失敗を恐れず、努力を惜しまず、体力をつけて夢に向かって前進すること」、JICAパラグァイ総合農業試験場の白石英一場長が「行動・仕事・勉強で責任のとれる人間、地域に役立つ人間になること」、農協の内山新一組合長(福島県)が「感謝の気持ちを忘れないこと。自分の責任でダイヤ(人格、人間性)を磨くこと」を贈った。
 新成人を代表して佃拓くんが「日系人として生まれたことに誇りを持って、移住地、そしてパラグァイの発展に貢献できるよう精一杯がんばります」と力強く誓った。こうして、彼らは九日の「成人の日」に日本で新成人となった百四十三万人の仲間入りを果たした。
 今年は移住地が入植四十五周年、日本人のパラグァイ移住七十周年の節目の年でもある。新成人たちの前途に幸あれ。新成人は(順不同、敬称略、カッコは両親、記載のないのは故人)見明宏(明伸・実枝)、森貝和久(君子)、西城徹(博・由美)、佐藤昌機(英機・麗子)、園田祥吾(八郎・真弓)、佃拓(毅・弥生)、井上夏子(幸雄・芳恵)、越智えりか(寿郎・ダーリ)、岡本真利(沢江)、大西秀子(マリオ・百合子)、佐々木里香(信孝・由起)、植村美由紀(行秀・静江)、吉田香(信生・裕子)、久保田梨花(洋史・誠)。