2006年1月18日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】政治危機の巻き返しを図ろうと政府は十六日、前政権で実施された公社民営化の疑惑解明のためCPI(議会調査委員会)の設置を下院特別国会で要求し承認させた。郵便局CPIやビンゴCPIの観覧席でこれまで、高みの見物をしていた野党に対する報復措置と見られる。大統領選を前に政府は、目にものを見せる作戦らしい。前政権は公社民営化に際し、産業開発銀行(BNDES)から購入資金を融資させた舞台裏の不正行為にスポットを当てる狙いらしい。同CPI設置案を出したのは、アウド・レベロ(PCdoB=ブラジル共産党)下院議長であった。
新年特別召集で下院の初仕事が、同CPI設置であった。公社民営化はコーロル政権から始まりカルドーゾ政権で終了したもの、その疑惑解明は政治危機で苦汁を飲まされた大統領府の反撃とされる。
大統領選を控え前政権の恥部を国民の前へさらけ出し、見世物にする考えのようだ。民営化に際し産業開発銀行が、出した資金の流れにメスを入れる。コーロル政権にも及ぶ長期調査であり、前政権も連座することでPSDB(民主社会党)の関わりを特に吊るし上げるらしい。
下院議長は、与野党が熱戦中の郵便局やビンゴCPIに、油を注ぐことがないように別項扱いという。民営化CPIを、政治に利用しないよう議長は注文した。それで特に同案の日程表指定をしなかった。
下院議長の同CPI設置案は、ジヴィーノ下議(PRB=自由党)が支持者の根回しを行った。百七十一人の支持者署名が必要なところ、三百人の署名を同下議が集めた。下院議長は各党のリーダーに声を掛け、CPIへの代表者を指名するように要請した。
同CPI設置案は〇三年、PRBから上程したが握り潰された。その設置案は、民営化された政府系金融機関やペトロキミコ、鉱山、インフラ関係、電力、鉄道、都電、港湾、国道、ガス、電信電話、ITなどの再審理であった。
各党が代表者を指名しない場合、議長が代理指名を行う権限がある。下院規定によれば、CPI代表は五人だが、候補が二十九人も名乗り出た。北東伯の民営化CPIでは、殺しのプロが昨年まで暗躍したという物騒な役目である。
マイア下議(PFL=自由前線党)は、同CPI設置案を前以って打診しなかったと抗議した。設置案提出に先立ち、同下議といっしょに昼食をしたことで了解済みという解釈だ。PFLは公社民営化でやましいことはないが、昼食時にひとことも民営化CPIの話はなかったという。提出までに三時間の余裕があり、党首だけにも打診すべきだったと述べた。
ゴウドマン下議(PSDB=民主社会党)は、民営化CPIの設置を全く意に介していないと述べた。しかし、一連のCPIに引き続き、新たなCPIが継続審理できるか疑問だという。こんなことばかりしていると、外資は逃げ出すと電力CPIを流産させた経緯を指摘した。