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クレジット・カード御難時代へ=油断がサラ金地獄に=不渡り小切手を上回る=金融緩和と高金利が裏目

2006年1月17日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】民間の信用調査会社SERASAは十五日、クレジット・カードや商品購入のローン滞納が〇五年、総額の三四・四%を占め、不渡り小切手の三三%を上回ったと発表した。これまで常に滞納リストのトップにあった不渡り小切手に、クレジット・カードが入れ替わった。ルーラ政権の金融緩和政策と基本金利を一九%とする高金利政策は、民間金融機関のクレジット・カードに月利一〇・二五%という暴利を許し個人の滞納を一昨年の三・一%から一三・五%へ増加させた。
 クレジット・カードの滞納が不渡り小切手を上回ったのは、二〇〇〇年来初めてである。クレジット・カードは高価なローンであり、消費者がサラ金の泥沼に足を取られるのは深刻な事態として受け止めねばならない。今後悪質で執拗な取り立て業者の横行を、許すことになる。
 クリスマス商戦で繰り広げられた高額の長期分割ローン滞納では消費者が、すぐに子供の新学期や家屋税や自動車税など諸税支払いがあることを忘れ、冷静さを失ったためらしい。
 〇五年度の滞納一覧表によれば、クレジット・カードと商品ローンが三四・四%、次いて先付け不渡り小切手が三三%、銀行貸し付けが二九・九%、支払い拒絶手形が二・七%となった。不渡り小切手は額面の取引だけですむが、クレジット・カードは訳の分らない諸負担金を加算されるので危険といえる。
 滞納額の実質価格は四一・五%が購入商品で、三二・五%がインフレ上乗せ分とされる。商店への貸付金利は平均月七・五九%であるため、さらに負担金などの金融コストが加算されている。ローンは滞納すると商店に対し一〇%の滞納負担を重加算し、消費者に三〇%近く跳ね返る。
 それでも全国で年々、二〇%増の割合で八十万の商店がカード方式を取り入れている。ロージャ・セムの場合、全売上の九%がローンである。分割払いの八九%は、同店が金融機関の取次ぎ形式で消費者の名義によるローンを組む。
 同店のローン滞納は、平均で四・五%。滞納が多いのは、八月から十月で五・五%に達する。ローン組みが危険なのは、消費者が短期のローンを組み始めた時期という。就職難の時期も、消費者の生活スタイルに関わらずローンの危険シーズンとされる。
 消費者を惑わせたのが、クレジット・カードでの購入は三回払い無利子の宣伝文句であった。今は、この文句が悪夢になっている。三か月が過ぎると滞納分は、雪だるま式にふくれる。清楚な服装を要求される職業は、いつも滞納の危険がつきまとう。三か月の間に失職や盗難なども、計算に入れねばならない。ようやく就職しても、滞納分のローン再組みは困難である。こうして滞納ブラック・リストに、掲載される例は非常に多い。
 失業の心配がない独立営業を志願しても、滞納分を清算しブラック・リストから名前を消してもらわないと開業はできない。公務員の場合は、いかなる審判対象となることも禁じられているので油断は致死傷といえそうだ。