2006年1月14日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】サンパウロ市内で軍警と警察署が相次いで無差別に襲撃を受け警官一人が死亡、一人が重体となっている。署内に詰めていた一人が、銃弾で飛び散ったガラスで軽傷を負った。
当局では犯罪組織PCC(州都第一コマンド)の仕業と断定、身許を割り出したグループを指名手配した。アウキミンサンパウロ州知事は卑劣な行為だと非難した上で「目には目、歯には歯で対抗して警察の威信を見せつける」との決意を示し、「どこに隠れようとも草の根を分けてでも犯人を検挙する」との特別声明を発表した。
また、アブレウサンパウロ州保安長官は同日、休暇中の警官らに休暇返上での全員召集をかけて総力で犯人逮捕を指示するとともに「犯人らは逮捕されて刑務所送りになるか、死体となって死体鑑定所送りになるかの二者択一しか道はない」と、明言した。全員に自動小銃など威力のある武器の携行を命じ、武器対決も辞さないとの構えを見せている。
十一日に端を発した無差別襲撃は、十二日に激化した。十一日の第一波攻撃ではケガ人は出なかったものの、十二日は四ヵ所で襲撃事件が発生し犠牲者が出た。同日午前七時四五分頃、サンパウロ市北部ビラ・マリア区クルサー橋上でパトロール中の警官が、二台の乗用車とオートバイに分乗した複数の男らに銃撃されて死亡した。
さらに犯人らは逃走中に、ドゥトラ街道で出逢った別のパトロール警官にも銃撃を加えた。警官は弾丸が胸部を貫通して重体となっている。さらにモルンビー区警察署では午前〇時十五分頃、撃ち込まれた銃弾でガラスが割れ、その破片で一人が軽傷を負った。またフレゲジア・ド・オー区警察署も襲われたが、警官らが反撃して犯人二人を射殺した。
今回の一連の襲撃事件は、九日にプレジデンテ・プルデンテ市のプレジデンテ・ベルナルデス刑務所で、収監中のPCCトップ通称マルコラ被告の奪回が失敗に終わり、メンバー五人が逮捕されたことに対する腹いせと、同被告が懲罰の独房送りとなったことに抗議してのものと見られている。
PCCでは二〇〇三年にも、取締りに対抗して一ヶ月の間に五十一ヵ所のサンパウロ市内警察署を無差別襲撃した経緯がある。この事件で軍警二人、市警一人、犯人ら七人の計十人が死亡した。