2006年1月12日(木)
ブラジル日本商工会議所の二〇〇六年度新年会が十日、サンパウロ市内のブルーツリー・モルンビーホテルで開かれた。約百三十人が出席。西林万寿夫在聖総領事も会場を訪れた。この日は動物王国で知られるムツゴロウさんこと畑正憲氏が講演するなど、にぎやかな集まりとなった。
今年最初の定例昼食会。会場には新年らしくおせち料理と雑煮も用意された。
三期目を迎えた田中会頭。冒頭のあいさつでは、今年のブラジル経済の堅実な成長に期待を表わすとともに、サッカーW杯ドイツ大会、十月のブラジル総選挙の「二大イベント」が経済に良い影響を与えることを期待したいと述べた。
会議所の活動についても「セミナーなど年々活発になり、八〇年代から続いていた会員減少も上昇に転じた」と語り、「今年も開かれた会議所、チャレンジする会議所、全員参加の会議所を目指す」とモットーを掲げた。
重点施策として挙げたのが「日伯経済関係の強化」「会員増加、他国会議所との連携による会議所の基盤強化」。日本移民百周年についても、会議所内の日系社会委員会を通じて協力を検討する意向を示した。
続いてあいさつに立った西林総領事は、二〇〇五年を「経済関係の強化など日伯関係に重要な進展があった年」と振り返るとともに、「今年は日伯交流年の準備を加速させる年」として、会議所に対しても「〇八年を成功に導くため、可能な範囲内で協力をお願いしたい」と語った。
このほか、総領事館として今後、日本企業支援や領事サービス業務の改善を進めていく方針を明らかにした上で、「忌憚のない意見、要望を寄せてほしい」を呼びかけた。
日本の議員団来伯のため出席できなかった堀村隆彦特命全権大使からもメッセージが寄せられた。平田藤義事務局長が代読。「今年は経済面の活性化に取り組む年であり、日本移民百周年に向けた準備を加速させる年」と位置付ける内容だった。
工藤章名誉会頭の音頭で乾杯。壇上では二〇〇六年度の常任理事が紹介されたほか、会員企業九社の代表交代あいさつ、新会員の紹介などが行なわれた。
この日はサンパウロ滞在中の畑正憲さんが講演した。今年七十歳になる畑さん。三十二年前に初めてブラジルを訪れて以来、これまで三十回以上にわたり来伯している。
現在、二冊の著書執筆に取り組んでいるという畑さん。一冊は、動物と人間の脳の発育に関するもの。もう一冊が四十年にわたる犬との関わりを書いたもので、こちらは英語で執筆するという。
講演では、鳥インフルエンザの問題から、執筆中の本に関するものまで、多岐にわたって持論を紹介した。
「(メスを求める)オス同士の競争が病気に勝つ動物を作る」として「卵を産む鳥を作ることを優先する現在の育種学はそれを忘れているのでは」と、鳥インフルエンザについて意見を述べる一方、動物がどのように親を認識するかなど専門的な話も。
また、犬と人間との関わりについても「犬が狼の子孫というのは大ウソ」として、十三万年前から続く犬が人間社会の歴史をひもときながら犬の性質を説明するなど、独特な話が参加者の関心を誘っていた。