昨年末、サンパウロ州政府内の日本移民百周年委員会は、ブラジル郵便公社とTVクルトゥーラ(州政府運営)が提携して、〇八年の年間を通して日本関連の番組をシリーズで放送することを決めた▼同公社は、〇七年に予定されている県連の日本祭り記念切手発行に続き、〇八年の百周年記念切手も検討に入る。これらはクラウジオ・レンボ副知事らの働きかけによるところが大きい。世界的に有名な指揮者、小澤征爾(せいじ)を呼ぶ計画もそのプランに入っているという▼一般ブラジル人へのテレビの影響力は大きいし、〃世界のオザワ〃のインパクトは相当なものだろう。サンパウロ州政府の主導によるこれらプロジェクトは着々と進行中であり、同様に日本政府による国宝級の古美術展開催も準備中だ▼それにしても、肝心の百周年祭典協会が四月の会長選挙を前に、うんともすんとも言わない。日系社会の核心プロジェクトが決まらないままに、周りだけ話が進んでいく。一体いつまで夢のような巨大ビル計画にこだわるのか▼何の資金調達計画もない〃画餅〃は棚上げして、『八〇年史』から漏れた調査を進められないものか。例えば、九〇年代以降にコチア産組、南伯、南米銀行に起きたことをどう歴史に残すのか。コチアの名を全伯に知らしめた下元健吉に関する自伝は、日語でもポ語でも出版されていない。このままでいいのか。一世の記憶が定かなうちに、日系社会にしかできない地道な作業も進めてほしい。巨大ビルの中身を、まずは作ろうではないか。 (深)
06/01/12