今週末の8日、9日に国家高等教育試験(Enem)が行われるが、その実施方法の難しさが試験の中身についての議論を2の次、3の次にさせていると6日付フォーリャ紙が報じている。
Enemは教育省の管轄下で行われているが、「問題用紙や試験に必要な器具の運搬がちゃんと行われるかどうかということばかりが心配され、Enemが高校までの習熟度を測るのに本当に最適なのかどうかということに関する議論があまりされていない」とサンパウロ総合大学(USP)教授のレイナルド・フェルナンデス氏は言う。同氏は05年~09年の国立教育研究院(Inep)の院長で、Enemの改革にも取り組んだ。
同氏が院長だった時は問題の漏洩事件なども起き、急遽、別の問題を用意するなどの対応を迫られたりしたが、大学入試としても使われるなどの改革で、その重要性が増し、より強固になったという。その証左はEnemを採用する教育機関の数や受験者が増えていることで、今年は870万人が受験する。
フェルナンデス氏は試験の回数を増やすべきだが、そのためには法律の改正が必要だという。同氏の見解では、年間2回実施すれば状況は改善され、3回実施も理にかなっているという。
答案の採点方法も問題となっている。12年の試験では、簡易麺の調理法やサッカーチームの応援歌を書いても0点にはならなかったことが判明し、翌年は採点基準が変更された。「無数の答案があり、採点時に何らかの問題が発生するのは避けられない。採点者も人間だし、完全に主観を排することはできないのだから」と同氏は言う。
フェルナンデス氏は、将来的にはEnemが高校課程の成績の指標として使われるべきだと主張する。現在は他の評価方法があり、Enemはサンプルに過ぎない。「最終学年の生徒が全員受験するようになれば、Enemが高校課程の教育のあり方を示す指標として使われるようになるだろう」と同氏は結んだ。