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査証センター=JBACが旅行業務開始=「約束違う」旅行社から不満の声=総領事館「センターは別物」

 日本査証申請センター(Centro de Visto Japones、以下CVJ)を運営しているJBACブラジル社(小幡敬之代表)が今年から旅行業務を始めたことに関し、ほとんど気にしていない地元日系旅行社もあるが、一部から「開設前の約束と違う」「あっちは総領事館が後ろについている。それで我々と競争するのは不公平」と不満の声が出ている。それに対し、査証業務を同センターに委託する在サンパウロ日本国総領事館は「問題なし」との認識を、本紙の問い合わせにのべた。

 日系旅行社が総領事館に一般査証を申請する場合、火、木曜のみで査証料は65レアルのみ。日系旅行社がCVJを通して申請した場合、毎日申請でき、最短1・5日という発給日数は魅力だ。
 ただし205レ(査証料65レ、手数料140レ)に加えて、自社手数料を上乗せするので利用者には高額となる。そんな事情から12年4月の開設時から地元旅行社は不満を持っていた。
 総領事館としては当初、発給業務を全面的に委託する方向だったため「総領事館の窓口業務を継続する」「旅行業務を行なわない」といった妥協案をもって開業した経緯があった。にも拘らず、日系旅行社に事前通知なく旅行業を始めたため、一部から不満が漏れる状況になった。
 JBACは今年から海外旅行傷害保険、JRのジャパンレールパスの販売を開始し、サイト上でも案内している。一部の日系旅行社は「早急にビザが必要なお客さんにCVJを薦めたら、保険やレールパスもその場で購入できるため、我々の所には戻ってこない」と半公的機関との競合を危惧している。
 取材に応じた査証班の鈴木俊哉領事は「誤解を生んでいるが、CVJがレールパス等を販売しているのではない。旅行業務の許可を得たJBACが行なっているのが実情。我々がJBACの業務にまで干渉する権限はない」と話した。同センターは運営母体のJBACとは別組織だから、母体にまで干渉できないとの認識であり、「改善や処分などは考えていない」とした。
 総領事館は毎年4月に同センターとの契約を見直しており、その時点で承認していた。「CVJとJBACを区別することを前提に、問題ないと判断した。査証対応と旅行業務の窓口を分けるなど、両機関が混同しないように引き続き注視する」と同領事は答えた。
 一つの事務所に二つの窓口を設けたその状態に対し、ある日系旅行社は「CVJとJBACを別物とするには無理がある」と反論する。別の関係者も「同じ場所で旅行業務を行なっているのにCVJだけが総領事館サイトにリンクを張っているのは問題。同業他社も載せないと不公平では」と首をかしげた。
 JBACブラジルの小幡代表は「窓口を分けている。CVJは別団体」とし、「お客様からの信頼が必要な旅行業界において、実績が浅いことから(旅行業の)販売量はほとんどない」との現状を述べ、競合の影響は小さいと捉えている。また「日本へ気持ちよく旅行して頂きたいという願いも込め、今後も査証申請に付随したサービスを提供したい」と話した。