現在、サンパウロFCで活躍中のかつてのセレソン・エース、カカーの来年の進路について注目が集まる時期に近づいてきた。
カカーの来年からの所属先となる、アメリカのメジャー・リーグ・サッカー(MLS)のクラブ、オーランド・シティが5日、公式サイトで来期のユニフォームを披露し、選手の代表として紫色のユニフォームを着たカカーも入った写真を掲載した。
カカーは今年6月、マイアミ州を拠点とし、来年からMLSのトップ・リーグに正式加入するオーランド・シティと契約したが、リーグがはじまる来年の3月まで、彼自身の古巣であるサンパウロFCにレンタルの形で移籍中の身だ。
いずれはオーランドに戻らなければならず、短い期間ではあるものの、サンパウロFCの試合でのカカーの貢献度は決して小さくない。かつて世界最高選手を意味するバロンドールも獲得した実力は、ゲームの組み立てやチームメイトの生かし方に反映されている。
実際、彼の加入後、アレッシャンドレ・パトやガンソといった、期待されながらも伸び悩んでいた選手たちが、かつての勢いを取り戻すかのようなプレーで注目度を再びあげた。サンパウロは現時点で全国選手権の2位にランクし、カカー自身もこの10月に、13年2月以来となるセレソンからの召集を受けるほど、その活躍が認められている。
全国選手権は12月に終わり、本来ならここで「カカーのサンパウロでのプレーは終わり」となるところだが、ひとつ問題がある。それは、仮にサンパウロが全国選手権で4位以上、もしくは、現在準決勝まで進出しているスダメリカーナ杯で優勝した場合、南米一を争うリベルタドーレス杯に進出できる。
リベルタドーレスの開催は来年の1月で、仮に決勝まで進出したと仮定すると最大で7月まで行なわれる。そうなると、「せめてリベルタドーレスまでは」とサンパウロも思いたいところだし、カカー自身もそれが叶うなら延長残留をと希望している。南米の選手にとって、「南米一」のタイトルの魅力は抗えず、しかもそれが自身のサッカー人生をはじめたチームならなおさらだ。
だが、オーランド・シティも同様に魅力的だ。アメリカは長らく「サッカー不毛」と呼ばれていたが、最近は若い世代や増加する中南米移民の影響でMLSの人気が上昇中。その熱気は、今年のワールドカップでひとつのピークに達した。そのタイミングで、オーランド・シティやニューヨーク・シティという、資本力を持ち、欧州から実績のある選手と契約したチームが来年から参加。人気がさらに活性化する下地はできている。
加えて、カカーが加入するオーランド・シティのあるマイアミ州は、近年ブラジルからの移民が急増中だ。ここでカカーが活躍すれば、ブラジル出身の熱狂的ファンがつくことも期待され、さらにサッカー人気全体の拡大につながれば、全米からの注目も集まる。そうなれば、ブラジルのサッカー選手の希望プレー先のひとつの有力な選択肢にもなりうる。そう考えると、カカーの担う役割はアメリカでも決して小さなものではない。
全国選手権終了まで残り2カ月弱。シーズン終了後に出ると思われるカカーの決断がどうなるかが注目される。(5日付G1サイトなどより)