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「蒔いた種は自分が収穫」=大統領、続投へ意欲満々=財務相辞任は「馬鹿げたこと」

2005年12月22日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】ルーラ大統領はアマパー州都マカパー市で二十日、空港施設工事視察で演説し、「金を懐に入れたままで年を越す愚か者はいない」として、やりかけの公共工事に対して今月に入り財政支出に拍車をかけたことを意義づけた。これにより同空港工事を始めとする進行中の全ての公共工事は同大統領の在任中に完成させ、セレモニーをするとの立場を強調した。
 この中で「自分が蒔いた種の収穫は自分の手でやり、他人(来年の選挙で大統領が入れ替わった場合)にはさせない」と強調、これまで国民のための政治をモットーとして庶民宰相を売り物にしてきたのとは打って変わり、個人プレーを全面に打ち出した豹変ぶりで周囲を驚かせた。
 来年の大統領選への出馬は時期早尚として相変わらずコメントを避けたが、四年の執政期間は短すぎるとの不満を表明して、続投に向け意欲にあふれた胸中をのぞかせた。さらに選挙は戦争ではないとし、節度ある選挙運動に徹するべきだとし、暗に野党とくにブラジル社会民主党(PSDB)の先走った動きを牽制した。その上で多くの人が出馬のタイミングを計ることを知らないと批判した。
 その後行われた記者団との懇談会でパロッシ財務相の去就を問われた大統領は「(辞任は)馬鹿げたことだ」と語気を荒げ、噂を流しているのはマスコミだと非難した。その上で財務相の手腕で経済が安定し、残るは成長のみだとの認識を示した。
 閣僚に近い筋の話によると、十九日に行われた今年最後の閣議でも大統領はこれに触れ、責任ある経済成長を目標に掲げたという。同時に今年の成長が三%を切るとの予測にいらだちをみせたとのこと。これに対しロウセフ官房長官が、従来主張してきた財政黒字を削減することで公共支出を増加させることに大統領は賛同を示し、両者の密月時代の到来を思わせたという。
 さらに大統領は年内にIMFに対し一五五億ドルの融資返済を前倒しで返済することにより、IMFのコロニア化から脱皮して一人歩きができることを強調した。これは歴代の大統領が成し遂げられなかったことだと自賛した。またカルドーゾ前大統領の実績を批判、就任当時は外貨準備金はゼロだったが、今は六〇〇億ドルに達したとして前PSDB政権をこき降ろした。これも選挙の前哨戦と受けとめられている。