2005年12月21日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】二〇〇五年最後の閣僚会議は十九日にルーラ大統領を迎えて開催されたが、ほとんど全閣僚が現経済政策の変更を求め、パロッシ財務相を孤立させた。〇六年は経済成長を優先する政策を採るよう求め、その急先鋒となったのはフルラン産業開発相とゴーメス国家統合相、マリーニョ労働相。基本金利の大幅切り下げも減税も設備投資もないなら、経済成長率は三・五%以下に留まると警告した。ブラジル経済は抗生物質を与えられ病床にあった時代は終わり、これからはビタミン剤を投与すべき時代だと産業開発相が述べた。
今年最後の閣僚会議は、パロッシ財務相とメイレーレス中央銀行総裁に経済政策の軌道修正で圧力を掛ける閣議となった。全閣僚のほとんどが異口同音に経済成長の保障を求めた。閣議がかんかんがくがくとなったため、大統領は〇六年度初閣議で議論するよう制した。閣僚らは大統領選を考慮に入れた政策変更を行うものと理解した。
産業開発相の抗生物質とビタミン剤発言で、険悪な雰囲気が一掃された。しかし、四面楚歌の雰囲気で財務相はジョークに苦虫をかみ潰す思いだった。中銀総裁は、病状は好転したが再発の危険があると巻き返した。
大統領は、〇六年の施政方針に向けた具体策の議事進行に踏み出せなかった。しかし、〇五年第3・四半期のマイナス一・二%成長が、大統領にとって少なからぬショックであったことは誰もが推察した。
閣議の舵取りを引き受けたロウセフ官房長官は、財務相に対する直接攻撃をさえぎるように議事を進めた。それでも「何を以って〇六年にマイナス成長がないと保障するか」などの飛び入り質問があり、官房長官は閣僚をなだめながら閣議の収拾に冷や汗をかいた。
フルラン産業開発相は事業家出身で政治家上がりでないため、発言は単刀直入で奥歯に物を挟んだような言い方をしない。いつもは一人舞台の財務相が終始貝のように口をつぐみ、ただ一人の忠僕ベルナルド予算管理相の方をうかがった。
財務相は発言を求められ、財政の三本柱、財政黒字四・二五%と高金利、変動制為替制度に変更はないと念を押した。〇六年の経済成長率は三・五%以下ではなく、〇四年と同じ四・九%だと語った。第3・四半期のマイナス成長は理由が二つ。一はインフレの代償、二は政治危機による消費の落ち込みという。
大統領は〇六年を大統領選の年とし、心構えを伝えた。閣僚は全員、現政権の功績を強調し、前向き発言をすること。カルドーゾ前政権と比較して向上した点を宣伝すること。閣議は大統領命令で、前もって官房長官や財務相などと経済問題に触れないように打ち合わせてあった。しかし、本番はやぶ蛇になった。
〇五年は経済スタッフ受難の年といえそうだ。閣僚は交代が激しく椅子を暖める時間もなく、議会と政府は意思の疎通を欠いた。〇四年の年末はルーラ再選が確実と思われたが、〇五年末はジェフェルソン元下議の揺さぶりで任期全うさえ覚束ない有様だ。大統領は〇四年末、「〇五年は〇四年に播いたものを収穫する」と宣言したものだ。