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IMF債務を全額清算=独り立ちした経済=対外信用、著しく好転=「歴史的快挙」と中銀総裁

2005年12月15日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】財務省は十三日、国際通貨基金(IMF)からの融資金一五四億六〇〇〇万ドルの二〇〇六年と〇七年度決済分を前倒しで一括清算するという文書を発表した。資金は十二日現在で六七〇億六二〇〇万ドルある外貨準備金から振り替える。同措置によりブラジルのマクロ政策のファンダメンタルズと対外信用が著しく好転し、さらに外貨準備を蓄えることになると財務省は発表した。メイレーレス中央銀行総裁は、前倒し決済を歴史的快挙と称賛した。政府は海外の金融危機防止システムの設置でIMFと交渉する意向を明らかにした。
 政府は〇五年末までにIMFの債務を全額清算すると決めた。次回支払い日は、〇六年三月と〇七年十二月である。同前倒し決済の決定は、労働者党(PT)が高金利政策と財政黒字で善処策を請求した直後に行われた。IMFとの貸借関係は終了するが、IMFブラジル支所は営業を継続する。
 ブラジルはIMFと開放経済を実施している国々のために、国際金融危機の防衛や未然防止システムの開発などで、共同研究を継続する。ブラジルはIMF債務を清算することで、国際金融の信用リスクでランクが格上げされる。
 ブラジルがIMFの門を叩いたのは九八年十二月。アジアとロシア金融危機が発生し、余波がブラジルへ到来しつつあるときだった。当国の産業を揺さぶったエネルギー危機に見舞われた〇一年、IMF融資契約をブラジルは更新した。
 〇二年は革新勢力の台頭で大統領選挙が経済不安を増幅、金融不安へと伝播した。国際金融からも、ブラジル経済の将来性を不審の目で見られた。大統領選挙に先立ち、各候補は過激な政策を執らないとIMFへ念書を入れさせられた。
 ルーラ新大統領は〇三年、IMFとの融資契約を再更新した。ブラジル経済は同年末、国際信用の回復とともにIMF指導のもとで、融資契約を必要に応じて適時資金を引き出せる運転資金方式の引当金契約へ切り替えて貰った。
 この契約変更を機会に政府は、パイロット・プランとして上下水道工事のために二九億レアルの資金を手に入れた。しかも、公共経費へ計上する必要のない財源であった。
 IMF融資契約は〇五年三月に満期を迎えたが、政府は更新をしなかった。〇二年に受けた融資は〇四年に返済計画が軌道に乗り、ブラジルはIMFから巣立とうとしていた。必要に応じて引き出せるIMF資金を使うことなく、経済は独り立ちを始めていた。
 〇四年七月、ブラジルは初めて支払い期限に先立ち五〇億ドルをIMFへ前納した。今回のIMF融資の前倒し決済は、満期までの支払い金利九億ドルを支払わずに節約することになる。財務相がIMFへの前倒し決済を決断するに至るには、外貨準備高や輸出契約、外債決済状況の好転が動機になった。
 ブラジルの決済能力を示すカントリーリスクが、前倒し清算の決定で三〇〇ポイントラインを切った。国際金融の流れが、ブラジルへ向けて加速するものと期待されている。ブラジルは、南米の大国として面目を新たにしたようだ。