2005年12月15日(木)
日本政府の秋の外国人叙勲で旭日小綬章を受けたパウロ・ダ・ロッシャ・カマルゴ元サンパウロ州農務長官(85)への叙勲伝達式が十三日、モルンビー区のサンパウロ総領事公邸で開かれた。家族や知人、州の農業関係者が見守る中、西林万寿夫在聖総領事から勲章と勲記が伝達された。この日は、同氏と三十年来の交流を持つジャクト創業者の西村俊治氏も、ポンペイアから祝福のため訪れた。
カマルゴ氏はミナス州の農業大学を卒業後、第二次大戦後から農業機械の専門家としてサンパウロ州農務局に勤務。技術者として邦人移住者への農業機械貸与を進め、日系農家の生産性向上に貢献した。
一九七〇年から七一年、七五年から七八年まで二度にわたって州農務長官に就任。在職中は邦人入植地の電化に尽力したほか、邦人移住者の多いリベイラ河地域で土地の悪化が問題になった時は、日本政府に支援を訴えるために訪日した。
また、農業機械のジャクト社がコーヒーの自動収穫機を開発した際には技術指導にあたった。同社の収穫機が世界で最初のものとなった。
西林総領事はあいさつで、サンパウロ州への農業移民からはじまった日本とブラジルの関係を振り返り、同氏が日系農家に果たした役割を強調。その仕事が農業分野だけでなく、現在の良好な日伯関係の礎を築いたと敬意を表した。
これに対しカマルゴ氏は、在職中の日系農家の協力に謝意を表わすとともに、言葉や文化の違いといった困難を越えて農業だけでなく、ブラジル社会の各分野に貢献した日本移民の奮闘を称賛。今回の叙勲を「個人としてでなく、コムニダーデ、農務局の仲間を代表して受けたい」と語った。
西村俊治氏とのコーヒー収穫機開発の思い出にも言及、世界初の自動収穫機が「コーヒー農業の革命だった」と振り返った。そして「今もカフェはブラジルの農産物として重要な位置を占めている」と述べ、同氏の貢献を称えた。
上原幸啓文協会長の発声で乾杯後、記念撮影。一同歓談した。
この日のためにポンペイアから訪れた西村さんは「知り合って三十年になりますが、実に立派な人です。(叙勲は)非常にありがたいこと。こういうことが日伯交流を深めることにつながると思います」と祝福の気持ちを語った。