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日系健食業界の攻防=連載(8)=”老舗”の新たな挑戦=ペット用プロポリス製品

健康広場

2005年12月14日(水)

 ペットの高齢化が話題を呼んでいる。東京農工大の林谷秀樹助教授の調査によれば、平均寿命は犬が十一・九歳、猫が九・九歳。十二~三年前から、それぞれ三・三歳、四・八歳伸びた。
 人間に換算すると、犬が約十七歳、猫が約二十四歳長生きするようになった。ワクチンの接種が普及して感染症が減ったため。獣医学の進歩や餌の改良も、その背景にある。ペットの長寿により生まれてきた影響といえば、生活習慣病を発症しやすくなったことだ。
 人間同様、がんや心不全が死因の七割を占めている。モーリス基金(米)によれば、犬の四七%ががん、猫の三二%が歯、尿障害、がんのいずれかで死亡。品種によっても罹患率に差があり、例えばシャムネコが最もがんにかかりやすいらしい。
 ペットの高齢化が急速に進めば、飼い主や獣医らを中心に病気の早期発見早期治療や生活習慣病の予防から安楽死の是非まで、議論が沸騰することだろう。
 それなら、ペット向けの健康食品や健康グッズなどがあってもおかしくない。実際インターネットで調べてみらた、その数には枚挙に暇がなさそう。
    ◇◇◇    
 ブラジルNAC社の市瀬ナイル社長(57、二世)は「ペット向けのシャンプーなどを始めました。ブラジルでは、私が初めてじゃないかしら」と胸を張った。プロポリスを配合した製品で、ペットの肌に〃若返り〃効果があり、毛並みが美しくなるのだという。
 半年ほど前に発売。注文も順調に伸びてきている。「今や、ペットが高齢化する時代になりました。その結果飼い主さんがいろいろな健康製品を求めており、シャンプーも喜んでもらっています」。
 NACといえば、プロポリスの輸出に当たって、「SIF」(農務省の品質保証規格)を取得した第一号の企業。美容院経営、モデル、弁護士と市瀬社長の経歴もユニークだ。
 同社は日本でプロポリスが紹介されるきっかけになった、第三十回国際養蜂会議(一九八五年、名古屋市)で最優秀スタンド賞を受賞している。九一年には、日本の研究者が同社の製品から抗がん物質を取り出したと発表。日本でブームに火をつけた。
 「ここで健康食品関係の仕事に携わっている人は、今千人くらいいるんじゃないかな。すごいしのぎを削っています。生き残っていくためには、常に新しいことを始めなければなりません」。他社の追い上げや販売競争の激化で、緊張の連続なのだろう。
 そこで、目をつけたのがペットの高齢化だ。しかし話を早く切り上げたくて、落ち着かない様子。まだまだ企業秘密?
 実はグアラリオス(サンパウロ市から一時間)の別荘に移転するそうだ。事務所の近くを通ったので取材のアポをとろうと、チャイムを鳴らしたところ、ちょうど引越しの作業中だった。
 別荘は八アルケールの広さを誇り、健康センターがある。プロポリスの生産も、そこが基盤だ。取材を申し込むと、「年を越さないと無理よ」とキッパリ。〃老舗〃が今後、どんな展開をみせていくのだろう?       (つづく)

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