2005年12月10日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】メルコスル加盟四カ国の外相は八日、ベネズエラのメルコスル加盟を緊急動議で認めた。同国との実質的貿易は、域内関税や非関税協定などが調整される二〇〇六年末から〇七年中ごろとなる。パラグアイ外相の動議により、同国の条約順守への懸念から加盟による発言権は認めるが、代表権は認めなかった。これで同国は全ての共同市場会議とメルコスル審議会にも出席し、決議にも意見を述べることになった。チリはベネズエラより以前から加盟を検討していたが、関税協定で合意に至らなかった。
第二十九回メルコスル首脳会議の決議案では、チャベス大統領の政治的接近への関心がメルコスル協定の通商面に先行したとしている。チャベス大統領始め閣僚らが十日から全てのメルコスル会議に参加し、決議に口を出すことになった。
メルコスル事務局は六十日以内に加盟条約の条項をカラカスへ送付する。五月十五日までに加盟によって生じる細部事項を打ち合わせるため、事務局は連絡会議を立ち上げる。その後百八十日以内に同国はメルコスル関税協定との調整を行う。調整が合意に至らなければ、さらに百八十日の延期を認めるというもの。
メルコスル四カ国外相は、ベネズエラの加盟が第三国で物議の種をかもす可能性もあることを考慮に入れた。これはメルコスルが拡大する段階で発生を案じたアスンシオン協定二十条に明記されている。例えばボリビアやチリ、ペルーも加盟を表明していた。しかし、ベネズエラは付随的加盟国ではなく、ブラジルと同格の扱いを要求している。
キルチネル亜大統領は、ベネズエラの加盟要請を受けたとき、モラレス大統領候補が当選した場合のボリビアの同時加盟を提案した。チャベス大統領とモラレス氏は、亜大統領とウマが合うらしい。
メキシコもメルコスルに色目を送ったが、ベネズエラの加盟で難しくなった。両国は犬猿の仲にある。他に四カ国外相は、メルコスル議会を〇六年十二月に創立し、二段階でメルコスルの完成を考えている。一は〇一〇年に、各国が十八議員を選出する。二は〇一一年一月に議会を開幕する。
チャベス大統領が、メルコスルは同国加盟で活性化し、ベネズエラばかりでなく加盟四カ国も恩恵を受けると声明を発表した。同大統領は米州自由貿易圏(FTAA)を米国の植民地政策と非難し、同国のメルコスル加盟によりFTAAは葬られたと豪語した。これからは、積極的に南米独自の未来を築くと宣言した。
メルコスル四カ国は、ベネズエラが通商よりも政治的関心を表に打ち出していることを認めた。チャベス誘致の音頭を取ったのがキルチネル大統領だったため、ブラジルはメルコスルのまとめ役として肩の荷が軽くなったようだ。
亜国はベネズエラの原油に食指を動かし、ベネズエラは亜国の債務引受を示唆していた。ウルグアイもベネズエラの大型投資が期待できることで加盟を歓迎した。メルコスルは六カ月間、単刀直入で浅慮なキルチネル・スタイルの一人舞台になりそうだ。