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第一目標は経済成長=官房長官が宣言=財政黒字は議論の対象外=財務相最後の砦に踏み込む

2005年12月09日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ロウセフ官房長官は七日、財政黒字は議論の対象ではないとし、第一目標は経済成長であると経済の施政方針を明示した。ルーラ大統領了解のもとに財政黒字は二〇〇五年と〇六年に四・二五%と据え置き、経済成長と基本金利引き下げに全力投球すると宣言。公共債務削減のための緊縮財政は緩和し、経済好転の兆しがあれば、財政黒字の政策変更も考慮するが、時期は分からないとした。〇六年の経済成長率は四%以上を目標としており、経済スタッフとの激突は避けられない様相となった。
 官房長官は海相との会食後、〇六年は経済成長率上昇と基本金利引き下げを急ピッチで行い、政策調整は経済の根幹ではなく錠剤のサジ加減で調整すると述べた。パロッシ財務相が最後の砦として守り抜いた財政黒字の聖域に、官房長官が踏み込むことになった。財務相による財政建て直しの功績は誰もが認め、同相を閑職へ追いやる考えはないことを同長官が強調した。
 〇六年は多くの明るい要因が合流し経済環境の好転が見込まれるので、一気に四%以上の経済成長を達成すると意気込んだ抱負を同長官は披露した。そのため経済成長率への一点集中に賭けるという。
 財政黒字に固執した政府内の流れは変わったことを同長官は示唆した。政府内勢力地図の塗り替えと官房長官の実力が既定事実となりつつあるらしい。政治危機で動揺する今、年度別財政黒字率を議論するよりは、経済政策を変更したほうが容易だという。
 自転車が止まってから、調整はできない。走っているうちに政策調整をせよと、同長官はブラジルの格言を引用した。財政黒字の削減はドル高につながり金利の引き下げを容易にすると同長官はいう。
 第3・四半期の国内総生産(GDP)の落ち込みは、六カ月間にわたった高金利政策が原因だとした。中央銀行の通貨政策を逆にすれば、産業は活気を取り戻すと同長官は皮肉った。一・二%の落ち込みは、十日間の出来事ではなく、六カ月間にわたる中銀の失策の結果であるとした。
 フルラン産業開発相は、ブラジル経済は潜在的パワーがあり、統計が示すほど悲観的ではないと述べた。ブラジル経済を語るには「逆理も定理なり」といって、基礎になる部分が非常に大きい。統計に表れるのは氷山の一角で、統計なるものが理解できないと同相はふざけた。
 一方、サンパウロ州工連(FIESP)のスカフ会長は、パロッシ財務相とメイレーレス中銀総裁が「インフレを葦の髄から天井のぞく」と批判した。インフレは三六〇度の角度から見るべきもの。市場に需要が生まれるとあわてて流産をさせる。需要がなければ、投資も経済成長もないことが分からないらしいと抗議した。
 同会長は、基本金利一八・五%でレアル高を抑えることはできないという見方だ。中銀は国際金融の茶坊主で、為替介入をするが何も解決できないと酷評した。中銀は企業の競争力不足を批判し、水掛け論は終わりそうにない。