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グシケン元長官に新たな疑惑=伯銀資金流用を指示?=元理事が証言、CPI追及へ

2005年12月09日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】労働者党(PT)不正資金に絡みブラジル銀行(伯銀)の公金流用疑惑を追及している議会調査委員会(CPI)で七日、ピゾラット元伯銀理事が資金の支払いはルイス・グシケン広報局長官の指図によるものだと証言したことから、ここにきて改めて元長官がクローズアップされてきた。
 元理事は証言の中で、元長官が「何も問題ないから支払指示書に署名しても良い」と述べたことで、長官命令と理解したとして、「そこまで言われて長官に反対する理由はなかった」との立場を強調した。これを受けてCPIではグシケン元長官を召還して元理事と対峙させるとの動議が出され、表決にかけられることになった。
 元長官はこれまでも疑惑のリストに挙げられてきたが、いずれも証拠不十分で追及は受けなかった。今回は証言で具体的背景が述べられたことで、釈明を余儀なくされた。大統領府広報室が今回の内閣改造で廃止されたことで、グシケン元長官は、総務庁管轄の大統領府戦略研究センターの所長に降格されたが、今回の告発を真っ向から否定して「元理事は生来物事を混同する性格」だと非難した上で、(伯銀の内部業務への)広報室が介入する権限はないとして、一切関与していないとの声明文を発表した。
 いっぽうで一連のスキャンダルで、大統領の支援を得られないまま議員権をはく奪されたジルセウ前官房長官は、グシケン元長官の名も挙げながら、大統領との蜜月時代は終わったとして、大統領は不利と見たら容赦なく斬り捨てる人種だと決めつけ、加護があると思うなと警告を発している。
 伯銀の公金の一部がPTの裏口座に流されたとみてCPIでは追及している。伯銀は三一%の株を保有するヴィザネット社に対し、クレジットカード販売の宣伝キャンペーン費用に五八三〇万レアルの前渡し金を支払った。このうちの二三三〇万レアルが二〇〇三年五月にピザラト元理事が支払指図書にサインし、問題となっているもので、このうち一〇〇〇万レアルがPTに流れたとされている。
 ヴィザネット社の広告を請け負ったのが、PT裏金資金の操作をしていたヴァレーリオ氏経営のDNA社で、伯銀の資金はヴィザネット社からDNA社に、そしてヴァレーリオ氏を通じてPTに流れ込んでいたことになる。
 ピゾラット元理事はCPIにより告訴され、検察では公金不正操作で逮捕状を取りつけることを決定した。同元理事はこれに先立ち保釈申請をしたが、裁判所に拒否された。これによりグシケン元長官へのCPIの追及も厳しいものになるとみられている。